一生そばにいるから ページ15
｢ちょっ、宮くん、宮く、…オイ宮ァ！！！｣
突然Aが呼び捨てで俺の名前を叫ぶ。
｢な、ななななんやッ！？｣
慌てて急ブレーキをかけるも、滑り止めもなんもついてへんローファーであえなく二人してズッコける。
全速力で走ったんもあって数分くらい二人で肩でハァハァ息し続けた。
｢…いきなりなんやねん｣
そういうAは今までで一番怒った顔でそう低く呟いた。
対する俺はタジタジ。
いやまあ、告白邪魔してもうたんは痛いくらい分かってる。もしかしたら一世一代の告白やったかもしれん、うんすまん八城。
心の中でサッカー部の主将に謝りつつ、あれなんで八城の告白邪魔したのんAがキレるんやと思う。
｢なん、いきなり現れるわ手ぇ掴んで走り出すわ、なんかもう私の言ったこと忘れてるわ鳥頭かなんかなん？？？？？｣
違う。
どうやら俺が現れたことが気に食わんみたいやった。いつの間にそんな嫌われてるん俺。身に覚えがないわ。
｢っすまん…！｣
男は女の涙に敵わん言うけど、怒りにも敵わん気がする。この世の男めっちゃ弱なるやん。
｢…まあ、でも、……ちょっとだけカッコよかったし、許したるわ｣
Aがそっぽ向いてそう漏らした言葉に耳を疑う。え、なんて？
｢…俺、カッコよかった？｣
｢ちょっとだけな！！！！！｣
Aが否定するようにそう被せてくる。説得力ないわ、そんな耳真っ赤にして言われても。
｢そかそか、俺カッコよかったか〜｣
｢うるさいねん！！…てかもう近付かんといて言うたのに、なんで｣
｢っしゃあないやん！体が先に動いたんや！｣
俺は悪びれもせずそう唸る。
やって、やって女癖悪いとか聞いたらそんなんいてもたってもいられんやん。心配やん。
｢宮くんどんだけ私のこと好きやねん｣
Aが呆れたようにからからと笑う。
ようやく見れた笑顔にまた、好きが募る。
｢当たり前やん、世界で一番Aが好きやで｣
途端カーッと音を立てたようにAの全身が真っ赤になる。
｢なん、なんやそれ、なんなん、いい加減にせえよ、都合いいことばっか言うて｣
Aはしどろもどろになりながら俺の背中をぼすぼすと殴る。全然痛ない。
｢え、何もしかして照れてるん｣
｢うっっさいわこっち見んな！！｣
子どもみたいにそう喚いてとうとう背を向けられた。
｢好きやで｣
俺は怒られるんも殴られるんもお構い無しに言葉を紡ぐ。
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作者名：五百雀 | 作成日時：2021年3月1日 16時
