転生したら推しの飼い猫とかハードルが高すぎる【stpr】

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夢主side

トランプも終わり、みんなの笑いもおさまったところで他の面々は帰り支度を始めた。

帰り支度といっても散らかして室内を粗方片付けたり食べ散らかしたお菓子などを捨てただけなのだが。

「お邪魔しました〜」

なんて律儀にも述べていくのはなーくん 。

さとみくんに至ってはまだ私のことを撫で回している。

なんだかんだ言って騒がしくも楽しげに帰っていく彼ら。


普段の放送となんら変わりもない楽しげな姿から彼らの仲の良さが伝わってくる。


______


その後彼らが帰って行ったので静かになってしまった室内にご主人と私だけが取り残される。


かち、かち、と時を刻む時計の音だけが響き、優しくも男らしい手で私は撫でられる。

当然のように喉をごろごろと鳴らしてしまうもので案外猫として馴染んでしまっているようだ。


そんな時も過ぎてゆきご主人は「よしっ」と気合を入れたあといつも通りの作業に戻るらしい。

自分で自分に掛け声をかけるとはなんとも可愛らしい！と若干自分の中で盛り上がりながらこのまま自分がいては邪魔なのでは？などと考え、ひらりとご主人の膝から飛び降りる。


随分と身軽になったななんて人間の体を思い出す。今となってはもう戻れないあの体。もう一度手を足を動かせたら…。

と考えてふと我に帰る。今の状況は？と。


とても恵まれているではないか。あのまま雨の中放って置かれたら？もし自分を拾ってくれたのがご主人ではなかったら？

そんな悲しい考えが脳裏をよぎる。


ただ。今は幸せならいいのでは？なんて楽観主義な自分の性格も見え隠れする。

何処までも自分勝手だなあと自虐気味に笑う、と自分は今笑えない(猫だから)ことに気づく。


こんな悲しい考えに浸らずもっと楽しいことを考えよう。なんて思った自分は声が出るのであればご主人のように「よしっ」と声を上げたことだろう。


飼い主とペットは似る。なんて聞いたことがあるから案外その通りなのかもしれない。

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