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2020年某日のこと
雨が降っていた。ザーザーと降り注ぐ雨は一向に止む気配をみせない。この道は車通りも多く車の走る音と雨の音が響いている。
そんな憂鬱な空とは真逆に私Aは友人と共に楽しく下校していた。何故この雨の中楽しげなのか。だがその理由は彼女たち二人の会話からたやすく読み取れる。
「今日から24時間リレー生放送だね!A!」
「もう楽しみすぎて一日中そわそわしちゃった!しかも最後にはお知らせもあるんでしょう?今回は徹夜で全部見ちゃおうかな…!」
「私はもうそのつもりで今日たくさん寝てきたよ!これで寝落ちしない!!」
「計画的犯行か??よし、逮捕する!」
「ちょっと、Aったら〜」
もうこの会話を見ればお分かりだろう…彼女たちはすとぷりすなー。これから始まるリレー放送。たとえ雨が降っていたとしてもそんなものは関係ない。
雨は降り注ぎ、彼女たちは会話を弾ませ、そしてその横を車が通り過ぎる。
横断歩道があった。一匹の猫が歩いている。
「見て、A!あそこ猫が歩いてる…寒そう…」
「本当だ、可哀想…こんなに雨が降っているのに…」
その時だった。トラックがその横断歩道めがけて猛スピードで突っ込んできたのだ。猫は未だ気づきもせず歩いている。
「危ないっ!」
その言葉は一体どちらが叫んだのか、そんなことを考える間もなくAが傘と鞄を投げ出し猫の元へと走った。あんなにザーザーと降っていた雨がゆっくりと落ちていくように見える。
「ちょっとA?!危ないっ」
キキー
どんっ
走ってきたトラックは突如目の前に飛び出してきた人影を見つけブレーキを踏む。だか、間に合わない。
「そんな…」
友人は駆け出す。ついさっきまで話していたはずのAの元へ。
そこには目を瞑りたくなるような光景が広がっていた。
どくどくと流れる血の赤が雨とともに道を流れる。
Aが何かを抱き抱えるようにしてその赤の真ん中に横たわっていた。
「みゃー…」
か細い声が聞こえる。Aに抱き抱えられている。そこにはさっき横断歩道を歩いていた猫の姿があった。
「良かった…」
Aはまだ息があるようででそう呟く。
「なにがよっ!あんたはそうやって…」
二人はもうわかっていた。このまま病院に運ばれたとしてももう助からないだろうということを。
「来世でもさ、推しが笑っていてくれればそれでいいや…」
そんな言葉を残しAは息を引き取った。
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すずねこ - あんなこといいなできたらいいな(転生) (2022年3月29日 14時) (レス) @page30 id: 7959e43801 (このIDを非表示/違反報告)
ちい - この作品何度見てもキュン死も面白いよぉ やっぱるぅちゃん最高だよなぁ (2021年9月11日 13時) (レス) id: 7557f38ef9 (このIDを非表示/違反報告)
りむ - あ、なんで戻ってきたじゃない。作品面白かったです!僕も佳菜さんみたいに死んでもいい…もう悔いはないです…。はいw (2020年10月31日 20時) (レス) id: 0e29be4cf7 (このIDを非表示/違反報告)
りむ - えへへへ←なんで戻ってきた (2020年10月31日 20時) (レス) id: 0e29be4cf7 (このIDを非表示/違反報告)
柳茶(プロフ) - 佳菜さん» そんな、、恐れ多いです…ありがとうございます!!! (2020年9月2日 12時) (レス) id: 88042d57cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柳茶 | 作成日時:2020年3月30日 20時