【銀魂】引き篭もりお嬢様、取り扱い注意。（ガラスの様に繊細です） (ページ8)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:82,430 hit

８ページ8

安息の象徴たる10個の鍵を外す事まで約束させられた私は仕方無くそれを取り外した

【零タンへルプ！！】

ゲームチャットに表示された文字

A「また？」

このゲームは最近敵の行動がパターン化されつつあり、難易度もある程度越えてしまうと低くなる

A「辞めるつもりだったのにな...」

要するに飽きてしまったのだ、このゲームに

【零様！！】

【零様早く来て下さい！！】

私のアカウント名である『零』

現実世界では頼られない私だが、ゲーム世界では伝説と言われ頼りにされている

{何の取り得もねぇ女だな}

知っていたよ、そんな事

私は母さん見たいに綺麗でもないし、世界を感動させるような演技力もない

【零:私は今日でこのゲームから姿を消すね。】

私は父さん見たいに大勢を仕切る力もないし、一ヶ月で会社を立て直すような経営力もない

私には何もない

【零:このクエストが終わったらさようならだ。】

誰かに自慢できる何かがないから私は一つの場所に長く留まりたくない

私の事を凄いと思ってもらえている内に消えないとまた私には何もなくなる

【そんなっ！！】

【私達が頼り過ぎたからですか！？】

惜しまれている内に消えないと私は忘れられてしまう

【零:違うよ。別のゲームに集中したいんだ。私が居なくなっても、皆で頑張ってこのゲームを盛り上げて欲しい。】

一度辞めたら二度と同じゲームはやらないと決めている

課金なんてしないからデータを失ってもそこまでの喪失感はない

瞬殺でクエストを終わらせると、チャットに一言

【零:今までありがとう。】

そして誰かの返信も待たずにゲームを消去

沖田「随分と勿体ねぇ事しやすね」

後ろから覗かれる事もそろそろ慣れてきた

A「いらないモノは捨てる、それが自然の流れでしょう」

私は全部捨ててきた

私には何も無いから何も必要ない

友達も

信頼も

努力も

人生も

私はもがいても無理だったから

無理なモノはいらないモノだから

捨てた

A「いらないのよ、こんなデータも努力も」

時間の無駄だってわかってる

でもこの穴を埋めるにはゲームしかないのだ

失敗しても何もいわれないゲームしか

沖田「アンタ、勿体ねぇな」

勿体ない、か

そんな事初めて言われた

A「勿体ないのは貴方達ですよ、私よりもっと遣え甲斐のある人は沢山います」

私みたいに向上心も努力する気も何もない人間より

執事心を擽るお嬢様は沢山いる

沖田「アンタ以上の曲者はいねぇよ」