5話 ページ5
「君は、どうしてこんなことをしているんだい?」
鋭い目、その中に見え隠れする、心配の色。
しかし、
『どうして、とは?』
私の口から出る冷たい声。
私はその優しさを拒絶する。
だって、その優しさを受け入れたところで。
そこでまた、居場所を見つけられたところで。
また、失うときに絶望するだけでしょう?
だから、何も要らない。
何も望まない。
望んでは、ならない。
だから、
だから私に、優しくしないで。
だって、優しさを見せられたら、それに縋りたくなるじゃない。
過去の二の舞いになると、予測できても。
『貴方達に無礼を働いたこと、お詫びいたします。私のことは、ここで殺してもらっても構いませんし、見逃してくれても構いません。どうせこのまま帰っても甚振り殺されるだけなので今ここで殺してくれる方が嬉しいですけど。まぁ、貴方達の好きなようにして下さい。』
もういい。もういいの。
私は、生きているべきじゃなかったの。
もっと早く気付いていたらよかった。
もっと早く思い出していたらよかった。
人生の不確実さを。
そしたらこんなに、生きようと足掻くこともなかったのに。
そしたら無感情に人を殺すような、殺戮人形のようにはなっていなかったかな?
わかってる。
わかってるよ。
もう、遅い。
今更後悔しても、私がしてきたことは変わらないし、私の中で育った殺戮人形という化け物が消えることもない。
だったら、答えは一つしかないんじゃない?
全てを、死で清算する。
頭によぎった答えはそれだった。
それでも、私が死んだところで私が殺した人達は戻ってこないけれど。
あぁ。不思議ね。
あんなに生きたいと望んでいたのに。
今では死を望んでいる。
そんな自分に思わず嗤ってしまった時だった。
「医者として」
声がした。
「医者として、そんな目をしている子を放っておく訳にはいかないね。」
ルカス・トンプシーは告げる。
私の目を見て。
はっきりと。
私を見つめる目は相変わらず、鋭いけれど優しくて。
『ッ・・・。』
どうして。
どうして貴方はそんな目ができるの?
私は、貴方を殺そうとしたのに。
困惑と疑問が渦巻き、訝し気に彼を見つめ返すしかなかった。
すると、
「うーん。ちょっと説教じみちゃったかな?あ、そうだ♪」
先程までの様子とは打って変わったお茶目な雰囲気を醸し出し、彼は爆弾を投下した。
「私達に迷惑をかけたお詫びっていうことでデビルズパレスに来てくれない?」
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闇桜 - 文哉さん» あ!!ありがとーーー!!! (2月16日 21時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
文哉 - めちゃくちゃおもしろいー (2月16日 21時) (レス) id: 914ed8dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - ルンバを食べるさん» か、神?!?!あ、ありがとうございます…!!めっちゃ嬉しいです!本当にこの作品へのコメなのか?!?!って私の脳内は大荒れですww今のところライト感がないですけど、これからも元気になってもらえるように頑張りますね!! (2月16日 15時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバを食べる(プロフ) - 神…ですか、?読んだだけで元気100倍あそぱそまそになれるなんて神ですよね。神ですよ。 (2月15日 20時) (レス) @page29 id: 7a5ced0b99 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - 優月さん» え待ってありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです!!頑張りますね♡!! (1月29日 22時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:闇桜@非ログの民 | 作成日時:2023年12月12日 1時