☆5話 ページ34
“あんたなんて産まなきゃよかった！！”
バチンッ
バシンッ
『っう、うぅ、グスッ、ヒグッ、ッ』
終わりを知らぬ、悲惨な日々
最早、どれほど時が流れたかなんてわからなかった
頬に感じる冷たい石の床の感触で、辛うじて自分が床に倒れていることがわかるだけ
意識が朦朧としている中、きっと、自分はもうすぐ死ぬのだろうなと、ロワンお祖母様の元に逝くのだろうなと、漠然と思っていた時だった
普段、部屋に灯っている蠟燭の明かり以外存在しない地下の一室に、一筋の光が差し込む
「誰か、其処にいる…？」
これが、貴方との出会い
ランタンを片手に持った白髪の男の子
床に伏している私は混濁した意識のままぼんやりと、驚いたように私を見つめる少年ー年は恐らく15、6歳あたりーを見やる
「ねぇ、君、大丈夫？」
そう言ってから、彼は自分が言っていることの可笑しさに気が付いたらしい
だって誰が見たところで、今の私を大丈夫だと言う奴はいなかっただろうから
少年はランタンを床に静かに置いた
「ちょっと待ってて」
そう言って来た道を走りだした
もう死ぬだろうと思っていたし、それでいいと思っていた
でも。待ってて、と。そう言われたからという理由だけで、本当に戻ってくるかもわからないその人を信じて意識を保とうと思えるほど、その時の私はまだ幼く純粋だった
どのくらいそうしていただろう
気付いたら目の前に例の白髪の少年がいた
気付いたら、ということは、結局私は意識を失っていたらしい
でももう目が覚めた時には、自分に迫る死の予感めいたものはなくなっていた
それは恐らく白髪の彼が私が気を失っている間に、私の口に食べ物を流し込み、怪我の応急処置をしてくれていたからだろう
「ねぇ、君、名前は？」
『…セーレ』
その声はかすれていたが、彼が聞き取るには十分だった
「そう。俺の名前はリコリス」
『リコリス様…？』
その名前には聞き覚えがあった
お母様が偶に"リコリス様のお部屋のお掃除をしなくちゃ…"などと呟いて、帰るのを聞いたことがあったから
「リコリス様？なんか、君みたいな小さい子にそう呼ばれるのは嫌だなぁ」
何処か困った様にに呟く彼
『じゃあ、なんて呼べばいいの？』
「…お兄様とか？」
クスっとそう言って笑った彼からは、何となく幼い感じがした
……
「死んでもいい、なんて言わないで。助けた俺の気持ちにもなって」
「俺が、セーレに生きていてほしい」
「生きて」
「これは、俺の我儘」
続く (更新停止中)
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闇桜 - 文哉さん» あ！！ありがとーーー！！！ (2月16日 21時) (
レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
文哉 - めちゃくちゃおもしろいー (2月16日 21時) (レス) id: 914ed8dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - ルンバを食べるさん» か、神？！？！あ、ありがとうございます…！！めっちゃ嬉しいです！本当にこの作品へのコメなのか？！？！って私の脳内は大荒れですww今のところライト感がないですけど、これからも元気になってもらえるように頑張りますね！！ (2月16日 15時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバを食べる(プロフ) - 神…ですか、？読んだだけで元気100倍あそぱそまそになれるなんて神ですよね。神ですよ。 (2月15日 20時) (レス) @page29 id: 7a5ced0b99 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - 優月さん» え待ってありがとうございます！！めっちゃ嬉しいです！！頑張りますね♡！！ (1月29日 22時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：闇桜＠非ログの民 | 作成日時：2023年12月12日 1時
