4話 ページ4
これは、不味い・・・・・。
冷や汗が背中を伝う。
頭がぐるぐるする。
標的のことを殺しに行ったきり、帰ってこなかった子供。
標的のことを殺せずに帰ってきて、見せしめに甚振り殺された子供。
木の影で息をひそめる。
手が震える。
怖い。
死ぬことが？
違う。
必要と、されなくなることが。
死ぬことに恐怖はなかった。
この仕事をしている限り、いつ死ぬかなんてわからないし、いつも無感情に人を殺している私が、自分が死ぬときだけ感情的になるのは、それこそおかしな話だ。
じゃあ、私が今抱えている恐怖はどこからきているの？
私は、怖い。
仕事に、失敗することが。
甚振り殺されるから？
ううん。違う。
私には、それしかなかったから。
私に生きていて欲しいと思っていてくれる場所が、私には、あの組織しかなかった。
だから、怖い。
仕事に失敗して、無能だと思われてしまうことが。
私の唯一の居場所だったところに、私が否定されることが。
“あんたなんて産まなきゃよかった！！”
私が人形のように人を殺し続けたのは、生き残って、絶対に掴めないとわかっている光に手を伸ばすため？
それもそうかもしれない。
だって、闇に巣食うモノたちが、自分には毒だと、眩しすぎるとわかっていても、光に焦がれてしまうのは道理でしょ？
でも、それ以上に私は、あのゴミのような組織に執着していたのかもしれない。
見限らないで、と。
見捨てないで、と。
だって、そこは私が初めて見つけた、息をするのが楽だった場所。
でも、
「ナイフが飛んできた方向を見ると・・・そこですか。」
人生に“安定”なんて存在しない。
知ってたでしょう？
その身をもって。
私は木の影から姿を現す。
「「・・・ッ」」
私を見た二人が息を呑む気配がした。
私が女だから？
私がまだ年端もいかぬ子供だから？
まぁ、もうどうでもいいことだけど。
私はもう何も望まない。
光も、息ができる場所も。
自分の身の丈に合わないものは望んではならない。
そう。そうだったね。
だって、私は生きているべきじゃなかった。
「君は、どうしてこんな事をしているんだい？」
標的だった男、ルカス・トンプシーが鋭い目で尋ねてくる。
こんな事。
殺しの仕事。
いきなり質問され、驚く。
てっきり殺されると思っていたし、それでいいとも思っていた。
でも、違った。
そして、私は、気付いてしまった。
私を見つめる鋭い目のなかに、心配の色があることに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
闇桜 - 文哉さん» あ！！ありがとーーー！！！ (2月16日 21時) (
レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
文哉 - めちゃくちゃおもしろいー (2月16日 21時) (レス) id: 914ed8dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - ルンバを食べるさん» か、神？！？！あ、ありがとうございます…！！めっちゃ嬉しいです！本当にこの作品へのコメなのか？！？！って私の脳内は大荒れですww今のところライト感がないですけど、これからも元気になってもらえるように頑張りますね！！ (2月16日 15時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバを食べる(プロフ) - 神…ですか、？読んだだけで元気100倍あそぱそまそになれるなんて神ですよね。神ですよ。 (2月15日 20時) (レス) @page29 id: 7a5ced0b99 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - 優月さん» え待ってありがとうございます！！めっちゃ嬉しいです！！頑張りますね♡！！ (1月29日 22時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：闇桜＠非ログの民 | 作成日時：2023年12月12日 1時
