☆8話 ページ28
ルカスside
「ねぇ、セーレちゃん
私達が、初めて会った時を、覚えてる？」
私の声が、静かな治療室に響く
セーレちゃんと初めて会った時を、昨日のように思い出す
私を殺そうと、木陰からナイフを投げてきた白銀の少女を思い出す
あの時の君の濁った瞳を、鮮明に覚えている
あれは、生きることを諦めた人がする目だった
あの時のセーレちゃんにとって、生きることは苦痛で罪だった
「あの時のセーレちゃんを見たときに思った。
救いたい、支えたいって」
彼女の目があまりにも、悪魔執事になる前の、私を含めた彼らを彷彿させたから
『ぁ…』
かすれた声
きっと、この台詞に心当たりがあったのだろう
フェネス君にお風呂に入れてもらった時に言われたのかもしれない
そしてきっと、その時の彼女は救いに死を求めたのだろう
でも、今の彼女は違う
光に憧れていた、光の下を歩き出した少女は今、その質量の大きさに足踏みをしている
「家族のように思っていなかったら、そもそも屋敷で住ませないし、怪我の手当てもしない。
セーレちゃんが倒れた時、私、結構焦ったし、心配したんだよ？」
私は、人の感情に疎い
だから今、セーレちゃんが心から欲しているものがわからない
だからこそ零れ落ちた本音だった
その本音が、彼女にどう響いたかはわからない
ただ、セーレちゃんの目が、瞳が、滲んでユラユラと揺れだしていた
「泣いていいよ、セーレちゃん。
泣いていいから、ひとしきり泣いたら、どうか笑って」
絶望を味わったことのある私達が
悪魔執事として
天使を狩るという理由で
再びこの世界で生きることを決め
再び、心の底から笑うことができるようになったように
『ッ…』
セーレちゃんの目から涙が一筋、零れ落ちた
『貴方達は、優しすぎる……ッッ！！』
そしてセーレちゃんは声をあげて泣き出す
それは、まるで新しい生を授かった赤子があげる産声のよう
家族と思えるだけのもの？
そんなもの、支えたい、守りたい
そう、心の底から思うことが全てでしょ？
ねぇ、セーレちゃん
生きると決めたからには、自分の中に眠る
囚われず、乗り越えなければならない。
きっとそれは、苦痛をともなうことになるだろう。
だからその時はどうか恐れずに、私達を頼ってね。甘えてね、セーレちゃん。
そう、心の中で呟き、泣きじゃくるセーレちゃんを私はそっと、自分の腕のなかに閉じ込めた。
〜過去に悪夢に囚われて〜fin〜
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闇桜 - 文哉さん» あ！！ありがとーーー！！！ (2月16日 21時) (
レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
文哉 - めちゃくちゃおもしろいー (2月16日 21時) (レス) id: 914ed8dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - ルンバを食べるさん» か、神？！？！あ、ありがとうございます…！！めっちゃ嬉しいです！本当にこの作品へのコメなのか？！？！って私の脳内は大荒れですww今のところライト感がないですけど、これからも元気になってもらえるように頑張りますね！！ (2月16日 15時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバを食べる(プロフ) - 神…ですか、？読んだだけで元気100倍あそぱそまそになれるなんて神ですよね。神ですよ。 (2月15日 20時) (レス) @page29 id: 7a5ced0b99 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - 優月さん» え待ってありがとうございます！！めっちゃ嬉しいです！！頑張りますね♡！！ (1月29日 22時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：闇桜＠非ログの民 | 作成日時：2023年12月12日 1時
