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☆7話 ページ27

「だから、もっと私達を頼って…」

『たよ、る…?』

普段の声とは違う、弱々しい声

ルカスさんはベッドに座っている私の頭を撫でながら、床に膝をつき、私の顔を覗き込んだ。

ル「ねぇ、セーレちゃん。人は、一人では生きられない。
お互いに迷惑をかけあわないと、人は生きていけないんだよ。
だから、もっと私達を頼って。
迷惑だなんて思わないで…」

『ッ…』

"迷惑をかけたら、見捨てられるかもしれない。"
この屋敷で生きると決めた時から、ずっと思っていたこと。
そんなことをする人達じゃない。
わかっていたけど、怖かった。

私は、望まれて生まれてきたわけじゃない。
私は、自分を守るために殺戮人形に身を堕とした。
私は、貴方達を殺すことに、一切の躊躇いがなかった。

その事実が、未だに私に囁き続ける。

"ちゃんと、役に立たなきゃ。迷惑をかけているようじゃ、捨てられちゃうよ?"

ずっと、私を怯えさせる。

だから、私は皆から距離をとって、一人で行動して、一人でなんでもこなした。
周りと関わらなかったら、周りに迷惑をかけることもないのだから。

迷惑をかけること。
それはいつの間にか、私のなかでの禁忌となってしまっていたらしい。

ル「"私達のことは家族だと思っていい" そう言ったのは私だ。」
声が響いた。

ル「私はセーレちゃんの全てを知っているわけじゃない。
でも、私は、私達は、セーレちゃんが何を抱えていても、過去に何があったとしても、
家族のように、想う気持ちは変わらない。」

『ぁ……』

"私は、お祖母ちゃんは、貴方を変わらず愛しているわ。"
ロワンお祖母様の懐かしい、優しい声。

その時、私の目が、私の顔を覗き込むルカスさんの真剣な目と合う。
それだけ彼は真剣に、自分の想いを私にぶつけてくれている。

なら、私も応えないと。
『私…』
手が震えた。

『私は、貴方達が私を家族のように思ってくれていることが嬉しいし、それを疑いたくない。
でも、私には貴方達が私を家族と思えるだけのものがないと思う。
だから、怖い。
いつか捨てられるんじゃないか、
追い出されるんじゃないかって』

沈黙が流れる。
私は、ルカスさんの顔を見ることが出来なかった。

ル「フフッ♪」

この場の雰囲気にはそぐわない、軽やかな笑い声。

顔を上げると、ルカスさんは笑っていた。

目を細めて。
優しく。

でも、どこか翳りのある、切なげな目元。

ル「ねぇ、セーレちゃん。
私達が、初めて会った時を、覚えてる?」

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闇桜 - 文哉さん» あ!!ありがとーーー!!! (2月16日 21時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
文哉 - めちゃくちゃおもしろいー (2月16日 21時) (レス) id: 914ed8dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - ルンバを食べるさん» か、神?!?!あ、ありがとうございます…!!めっちゃ嬉しいです!本当にこの作品へのコメなのか?!?!って私の脳内は大荒れですww今のところライト感がないですけど、これからも元気になってもらえるように頑張りますね!! (2月16日 15時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバを食べる(プロフ) - 神…ですか、?読んだだけで元気100倍あそぱそまそになれるなんて神ですよね。神ですよ。 (2月15日 20時) (レス) @page29 id: 7a5ced0b99 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - 優月さん» え待ってありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです!!頑張りますね♡!! (1月29日 22時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:闇桜@非ログの民 | 作成日時:2023年12月12日 1時

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