ルカス〜過去に悪夢に囚われて〜☆1話 ページ21
※暴力表現等が入ります。苦手な方は注意してください。
“あんたなんて産まなきゃよかった!!”
バチンッ
バシンッ
『っう、うぅ、グスッ、ヒグッ、ッ』
“煩いわねぇ。泣かないで頂戴。バレたらどうするのよ?!”
『ッごめ、ごめんなさッ、』
バシンッ
バチンッ
痛い、痛い痛い痛い
苦しい苦しい苦しい
私は、存在がバレてはいけない子だった。
私の父は、とても有名な一族の一人だったらしい。
そして私の母は、その父の住む屋敷の住み込みのメイドで、
父の愛人だったらしい。
愛人、そう。つまり父には正妻がいた。
父が本当に愛していたのは、私の母だったのか、それとも、正妻のほうだったのかは、今でもわからない。
しかし、住み込みのメイドとして父の屋敷で働いている母にとっても、正妻がいる父にとっても、私の存在が邪魔以外の何物でもないのは明らかだろう。
私は広い屋敷の地下にある狭い一室に閉じ込められていた。
母は偶に地下に降りてきて、戯れのように私を殴り、すっかり固くなったパンを置いて仕事に戻る。
そんな悲惨な毎日だった。
我ながら、生きていられたのが不思議なぐらい。
思わず、乾いた笑みが顔に浮かんだ時だった。
「セーレちゃん」
声がした。
「セーレちゃん」
父とも母とも違う、優しい声。
“我ながら、生きていられたのが不思議なぐらい。”
自分がつい先程思ったことが頭に蘇る。
そう
まだ、物心ついたばかりの幼子がこんな扱いを受けていて、生きていられる筈がないのだ。
じゃあ、どうして今、私は生きているの?
「セーレちゃん」
まるで私の疑問に答えるかのように聞こえる声。
柔らかい、安心できる、日だまりのような声。
ねぇ、貴方は、一体______?
__ガバッ
『ッはぁ、はぁ、はぁ、ッ』
私は、勢いよく起き上がる。
フカフカのベッド。
そう。ここは、デビルズパレス。
辺りはすっかり暗い。
もう、夜中なんてとっくに過ぎているだろう。
『ッ、大、丈夫。大丈夫。』
さっきのは、夢。
わかってる。
あれは、過ぎ去った過去というもの。
でも、記憶というものは未だにしっかりと、私の心に刻み付けられていたらしい。
その証拠がさっきの夢だ。
『水でも、飲も。』
私は自分のベッドから降りる。
同じ部屋で眠る皆を起こさないよう、気配と足音を殺し、部屋から出た。
ル「……………」
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闇桜 - 文哉さん» あ!!ありがとーーー!!! (2月16日 21時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
文哉 - めちゃくちゃおもしろいー (2月16日 21時) (レス) id: 914ed8dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - ルンバを食べるさん» か、神?!?!あ、ありがとうございます…!!めっちゃ嬉しいです!本当にこの作品へのコメなのか?!?!って私の脳内は大荒れですww今のところライト感がないですけど、これからも元気になってもらえるように頑張りますね!! (2月16日 15時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバを食べる(プロフ) - 神…ですか、?読んだだけで元気100倍あそぱそまそになれるなんて神ですよね。神ですよ。 (2月15日 20時) (レス) @page29 id: 7a5ced0b99 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - 優月さん» え待ってありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです!!頑張りますね♡!! (1月29日 22時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:闇桜@非ログの民 | 作成日時:2023年12月12日 1時