貴方達は執事じゃない、恩人なのに。

3話 ページ3

・・・見つけた。
私は木の陰に気配を消して隠れていた。
グロバナー家からの帰りだからか、正装姿だ。
しかし、ここで想定外の出来事が一つ。

「ルカスさん、今回もお疲れ様です。」
標的の傍に誰かいる。
緑髪の男。
名前は確か、ナック・シュタイン。

まぁ、よくあることでもある。
貴族の暗殺などでは、標的に付き人がいることが普通だ。
そういう時は、付き人にばれないように標的を殺すか、付き人も殺すか、だ。
今回の依頼は悪魔執事の暗殺。
今回の標的がたまたま、ルカス・トンプシーだっただけで、いつかは全員を殺さないといけない。
なら、彼も殺しておくべきだろう。
何時ものように、冷静に、無感情に、判断する。
そして、気配を殺し・・・・

ヒュｯ

持っていた投げナイフを投げる。
素早く、冷酷に、無情に、正確に。
この投げナイフで仕事をする時は、いつも仕事が早く終わる。
身を隠せる障害物がないといけないが、真正面から血生臭い斬り合いをするよりも、こっちの方が気付かれ難いのだ。

しかし、

「ルカスさんッ・・・！！」

どうやら私は悪魔執事のことを甘く見ていたらしい。

緑髪の男が標的を引き寄せ、ナイフから遠ざけた。


これは、不味い・・・・・。

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