☆4話 ページ19
ラトside
ラ「クフフ。これで、逃げられませんねぇ。」
私は不躾な“侵入者”を地面に押し付ける。
そして、短刀を振り上げた。
壊すことに、殺すことに、躊躇いなど一切、私にはなかったから。
『……』
泣くか叫ぶかされると思っていた。
しかし、目の前の彼女はいたって静かだった。
自分に生死を握られた、目の前の静かな少女を見つめる。
いつ、私に殺されても可笑しくはない。
そんな状態の、今なのに。
貴方は、私でもなく、私が振り上げた短刀でもなく、
一体何を見ているのですか?
___あぁ。月か。
それを理解したのは、彼女の凪いだ瞳の中に欠けた月を見つけたから。
地面に広がった彼女の白銀の髪が、月光を受け、輝きを増す。
生き物の“生”に縋る姿はとても美しい。
それなのに、月光を浴び、まるで死ぬことを甘んじて受け入れているかのような、そんな目の前の少女が、
美しく見えるのはどうして?
ラ「クフフフ……」
喉の奥からわらいがこみ上げる。
わからないならば、
疑問に思うのならば、
見つければいい。
探せばいい。
自分が納得できる答えを。
私は静かに彼女の上から退く。
『……』
起き上がった少女の訝し気な視線と私の視線が交錯する。
ラ「ねぇ」
何故、ここにいるのかを尋ねようと思って口を開いた時だった。
少女が視線を上げる。
私の耳が、複数人の足音を、気配をとらえる。
フル「ラト!!!」
この声はフルーレですね。
それに
ミ「ラトくん」
ミヤジ先生
ル「大丈夫かい?セーレちゃん」
ルカスさんまで
この二人が一緒にいるなんて珍しいですね。
そしてその時、私は真実に思い当たった。
ラ「もしかして、貴方……。この屋敷に正式に住まわせてもらっていたんですか?」
ルカスさんに立ち上がらせてもらっていた、セーレと呼ばれていた少女を見つめる。
彼女は声をかけられるとは思っていなかったのか、少し驚いたかのように目を瞬くと、頷いた。
『そう』
高いわけでも、低いわけでもない。
そんな彼女の声は耳に心地よかった。
欠けた月が、私達を見下ろし、照らし出す。
忌々しいだけだと思っていた月を見るたびに、私はきっと目の前にいる白銀の少女との出会いを思い出す。
ラ「私はラトと言います。貴方の名前はセーレ、ですよね?」
再び静かに頷く少女。
貴方も、私との出会いをずっと覚えておいてくださいね?
私と貴方の出会い方ほど、印象的な出会い方は無いと思いますから。
〜赤髪の執事との出会い〜fin〜
66人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
闇桜 - 文哉さん» あ!!ありがとーーー!!! (2月16日 21時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
文哉 - めちゃくちゃおもしろいー (2月16日 21時) (レス) id: 914ed8dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - ルンバを食べるさん» か、神?!?!あ、ありがとうございます…!!めっちゃ嬉しいです!本当にこの作品へのコメなのか?!?!って私の脳内は大荒れですww今のところライト感がないですけど、これからも元気になってもらえるように頑張りますね!! (2月16日 15時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバを食べる(プロフ) - 神…ですか、?読んだだけで元気100倍あそぱそまそになれるなんて神ですよね。神ですよ。 (2月15日 20時) (レス) @page29 id: 7a5ced0b99 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - 優月さん» え待ってありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです!!頑張りますね♡!! (1月29日 22時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:闇桜@非ログの民 | 作成日時:2023年12月12日 1時