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2話 ページ2

「セーレ?おい、聞いてるのか?」
ぼんやりと考え込んでいたら、名前を呼ばれる。
『悪魔執事の暗殺をしろ、と?』
「あぁ。」

悪魔執事_____中央の大地を治めるグロバナー家に仕える天使に対抗する力を唯一持つ人間。
天使_____突然空から現れ、人々を襲う人類の脅威。

ちなみに、私は“仕事”の時以外は外に出ることができないので、お目にかかったことはない。

『何故?』
思わず、疑問を口にしていた。
『悪魔執事は天使から人々を守ってくれる存在の筈。何故殺す?』
しかし、
「知るか。依頼は依頼だ。」
相手にされる筈もなく。
「これが資料だ。今回も、期待しているぞ。セーレ。」
そう言って、男は部屋から出ていく。

『今回も、か・・・・。』
私の小さな呟きは、誰に聞かれることもなく静寂に消える。
私は9歳の時にこの組織に売られた。
あれから早4年。
私は何人殺しただろう。
・・・・。
いや、今更か。

今回の標的は悪魔執事の交渉役、ルカス・トンプシー。
彼は、どうやら今日の午後からグロバナー家に呼び出しを受けているらしい。
狙うは移動中か。

頭のなかで、どう‟仕事”をするかをある程度組み立てる。
ある程度組みたったところで、私は立ち上がった。
殺風景な部屋を見渡す。
必要最低限の少ない家具。
その中で最も存在感があるクローゼットを開け放つ。
クローゼットの中には沢山の似たような黒っぽい服。

そして、

『短刀、投げナイフ、、、、。暗殺なら、大仰な武器はいらない。』

たくさんの武器。

そうこうしているうちに準備も終わり、標的を殺しに行く時間となっていた。

部屋の扉を開ける。
相変わらず聞こえてくるすすり泣き声。
部屋から出ると、私を怯えたように見つめる“牢屋のようなところ”の中にいる子供たち。
この組織では、実力さえあればある程度“人としての待遇”を受けることが出来る。
私のように。
子供たちの視線が痛い。
まるで、化け物を見るかのような眼差し。
・・・。私だって貴方達と変わらない年恰好じゃない。
いや、だからこそ恐ろしいのだろう。
平然と人を殺せる同年代の少女が。
そんなことを思いながら外に出た。
見張りは私の顔を覚えていたからか、何も言ってこなかった。

もう夕方の筈なのに、ただ、眩しい。
未だに慣れない日の光。

いつか、私もこの明るい日の下で、笑顔で、なんて。
人殺しにそんな権利はない。
わかってる。

なのに、この明るい光にどうしようもなく惹かれてしまうのは何故?

3話→←第一章〜光を求め死に救いを求める少女〜1話



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闇桜 - 文哉さん» あ!!ありがとーーー!!! (2月16日 21時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
文哉 - めちゃくちゃおもしろいー (2月16日 21時) (レス) id: 914ed8dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - ルンバを食べるさん» か、神?!?!あ、ありがとうございます…!!めっちゃ嬉しいです!本当にこの作品へのコメなのか?!?!って私の脳内は大荒れですww今のところライト感がないですけど、これからも元気になってもらえるように頑張りますね!! (2月16日 15時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバを食べる(プロフ) - 神…ですか、?読んだだけで元気100倍あそぱそまそになれるなんて神ですよね。神ですよ。 (2月15日 20時) (レス) @page29 id: 7a5ced0b99 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - 優月さん» え待ってありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです!!頑張りますね♡!! (1月29日 22時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:闇桜@非ログの民 | 作成日時:2023年12月12日 1時

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