馬鹿らしい ページ6
「…はぇ？」
ルシア自身でも驚く程間抜けな声が出た
しかしそれ程までに今目の前にいるアルトが提示した願いが予想外であり拍子抜けしてしまったのだ
彼が願ったこと、それは…
『ぼくとともだちになって』
と言うものだった
未だかつて悪魔にこんな願いをした人間がいただろうか
呆然とするルシアを前にアルトは目を輝かせながらアホ毛をピコピコと揺らしていた
風で揺れるそれは今の彼の感情をより強く表していた
ルシアは口をポカーンとあけていたがハッと我に返るとたちまちどうしようもない怒りが湧いてきた
彼女が望んでいたのはこんなちゃちでちんけな願いではない
もっと欲に溢れた汚い願い
子供だから先程のデフ男程ではないにしろもっと愚かで悪意ある願いだと思っていた
それが友達になってなどという阿呆丸出しも大概な願い
ルシアは堪らず叫んだ
「貴様は悪魔を馬鹿にしてるのか！？」
アルトは目をぱちくりしながらルシアを見上げたそれは驚いている様にも突然の事に固まっているようにも見えた
しかしルシアは止まらない
「き、貴様なぁ！悪魔への願いと言うのは汚く自己中心的で欲望丸出しの物だ！それをと、友達になってだと！？お巫山戯にも限度ってのがある！いいか？これは魂の契約だ。軽くてその身体を、最悪魂ごと全てを対価に支払う人生を賭けた契約なんだぞ！？他にないのか他に！」
逆に懇願する様にアルトを見つめるルシアだったがアルトは首を振り変わらずずいっと願いの書かれたノートを突き出した
これには流石のルシアも頭を抱えた
(こんなはずでは無かった…！今頃無駄な願いを叶えて魂を奪い取りその身体を剥製にでもして部屋のオブジェクトにして中身は魔界のオークションにでも出して一儲けするつもりだったのに…何よりも希望に溢れたその顔を苦痛と絶望に歪めて嘲笑ってやろうと思ったのに…！)
ルシアの気分は底なし沼並みに沈んでしまった
「あー…やめやめ！こんなクソみたいな契約なしだ！白紙だ！今回は見逃してやるからとっとと村に帰れ！くっそ馬鹿馬鹿しい…」
投げやりにそう言ってルシアは魔界へのゲートを開いた
(クソ…こんな契約する位なら家でのんびりと血の酒に酔いしれていた方が有意義だ…)
無駄にしてしまった数分を悔やみながら魔界に帰ろうとした時だ
「痛ったぁ！？」
本来くる筈のない衝撃に鼻を擦りながらルシアは何事だとゲートを睨んだ
するとゲートはまるで透明な壁があるかの様にルシアが通るのを拒んでいた
「…嘘だろ…？」
ルシアは汗をダラダラと流しながら顔を青ざめさせた
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闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» ありがとうございます！今後も作る機会があれば続きを書きますのでよろしくお願いいたします (2019年8月17日 1時) (
レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - シリアスとギャグの使い分けがとても巧で、あっという間に最後まで読んでしまいました。とても面白かったです……。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - いちごシロップさん» コメントありがとうございます！頑張らせて頂きます！ (2019年5月2日 2時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
いちごシロップ - 悪魔と人間が友達になる、って冒頭からほっこりしちゃいました。でもシリアスな場面もあって…。とにかくとても面白いです！これからも頑張ってください！ (2019年5月1日 23時) (レス) id: 99dc49cbe7 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - まゆみさん» 人外×人間が大好きなんですよ…！ (2019年3月31日 19時) (レス) id: 32007db41f (このIDを非表示/違反報告)
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