蛇竜は番犬に恋をする2 (ページ46)

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第八十八魔（アンリside）ページ46

「全く……」

取調室でボードゲームを楽しむサリバン公にため息をつく
ご自分の状況がわかっておられないのかあの方は

「一見すると穏和な方だが……情報によれば、彼は人間界に不正渡航し、嫌がる人間を無理矢理手元においている……という。本当なのか？バール。」

後ろには呑気な金髪頭
同胞十三冠のバールはヘラヘラした態度でさぁなと言い放つ
真面目にやれと睨めば彼は言った

「はいはい、俺の子飼いの情報屋からはそうだって報告だよ。でも俺以外からも情報は来てるはずだろ？だからこそのこの警備な訳だ。警備局員全員集合ってか！」

バールの言う通りここには魔関が誇る精鋭が揃っていた

「逃亡に備えての保険だ。容疑が晴れるまでは精鋭を集めざるおえない。しかしサリバン公を長時間拘束するのも無礼である……さてどうしたものか……」

サリバン公は9(テト)とはいえ魔王並の力を持つ
どうにかするにはこうするしかない

「そう急ぐなって。何もないに越したことはねぇ。まぁ今の落ち着きっぷりが嵐の前の静けさってやつかも知れねぇがな。」

そう言うとバールは笑った
全く……
と、その時

「チーッス！遅れてすいやせーん！」

軽快な声に私は顔をしかめた

「メフィスト、私が召集をかけたのはいつだ？」

「朝の九時半って所ですかねー？」

「嗚呼それも３日前のな……！一体どこで何してた！」

「え？ラブホ。」

「首にするぞ……」

魔関の中でも一番の問題児ハドラ・メフィスト
彼はヘラヘラ笑うとごめんちゃいと反省が微塵も見られない謝罪をした

「まーでも今日遅れたのは可愛い妹ちゃんの使い魔達の世話っすよー。頼まれちって？でもあいつら酷いんすよ。世話してやってんのに引っ掻くは噛みつくわでボロボロよ。」

「使い魔に敬意を一切払わんからだろうが。学校でなに学んできたんだ貴様は。」

「はーいはいお小言はききませーん。ま、首にするにしたってあんたはわかってるはずだ局長。オレの能力は魔関には必要でしょう？そんな重要な奴を首にするのはリスクが高い。」

そう
悔しきかなこいつの家系魔術は被告人を穏便に黙らせるにはもってこいだし何より被害を広げず迅速に確保できるが故に首にできない

「フン……だが貴様の妹が卒業したら真っ先にくびにしてやる……娘から聞いているぞ。かなり優秀な生徒だと。位階もお前と一つ違うだけだ。それまで精々御座をかいてればいい。」

しかしメフィストはケラケラ笑って言った

「それは無理な話だぜ局長。あいつはここには入れない。だって……あいつは自分で進む道を選べないんだから。」