蛇竜は番犬に恋をする2 (ページ4)

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第五十一魔（アスモデウスSide）ページ4

その日、私は入間様達を連れ、共に料理を作った
それも山の様に
ハドラに食べさせる為だ
何がどうしてかは分からないがハドラが学校で何か物を食べている所を見た事がない
まるで人前で食べる事を恐れているかの様に
しかし家では食べていない訳ではないのか肌艶はいいし胸も豊満
しかしどうみても痩せている
腕も脚も腰も
ガリガリとまではいかないが細い
それでいてあの魔力量、魔術、動き
どう考えてもあの身体には過ぎた運動量
あのままでは何れ体を壊す
いままで壊れなかったのが不思議な程だ
いつからあの食生活、体型なのかは知らないが改善するに越した事はない
ウァラクとの事でか入間様の誘いを渋るハドラの手を引いてやや強引に学食堂へ連れてくる
あくまでも作りすぎて食べきれないから手伝えと言う名目での事だったがウァラクがバラしてしまい見事にその作戦は撃沈した
しかしこの際だ
言いたい事を言ってしまおう
……少なからず、いやかなり好いている相手なのだから

「……ウァラクもそうだが私も貴様の事は心配している。貴様はいつもどこか我慢している節がある。不摂生な生活ではいずれ体を壊す。努力する事が悪い事だとは言わないが限度がある。それを弁えなければいつか倒れてしまうだろう。貴様の望む努力の先を見ることが叶わなくなる事だってあるかもしれない。力を抜き、休むこともまた野望への一歩ではないか？」

「……！」

ハドラは目を丸くしていた
続いて入間様もハドラに労りの御言葉をかける
何とも慈悲深いお方な事か！
流石入間様！
しかしハドラは目を附せた
入間様が心配そうに声をかけると

「その……私の食事の仕方は少し変わっているので……」

と呟いた

「どんな食べ方でも構わん。確かに食卓のマナーは守るべきとは思うがこの量をチマチマ食べていたらいつまでたっても無くならん。それに入間様が仰っただろう。笑ったり蔑んだり嫌ったりしないと。それは我々も同じ気持ちだ。」

私は真っ直ぐハドラを見据える
私達を信頼してほしい
入間様は勿論ウァラクもハドラの事を好いている
その真実を受け入れて欲しかった
するとハドラは暫し考えると吹っ切れた様に席についた

「……もうクレームは受けませんので……それじゃあ遠慮なく。」

次の瞬間、ハドラの長い赤髪が六つに枝分かれし、毛先が蛇の形を成して大きくなっていく
それはまるで魔獣の様でそれらは上から好きなように一片足りともこぼすことなく料理をかっ食らっていく
一方ハドラは下の段からチマチマと料理を丁寧に食べていた
……しかし、形はどうあれちゃんと綺麗に食べてるじゃないか