蛇竜は番犬に恋をする2 (ページ13)

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第五十九魔（カルエゴ＆夢主side ）ページ13

「そしたら彼女はテキストに描いてある通りに接してきた。上目遣いにやんわりとした微笑み。然り気無いボディータッチ。いやもう、うん。倒れる寸前ででも幸せで……ってカルエゴ君！？」

「何だその羨ましすぎるエピソードはぁ……」

俺は壁に手をつき体を支えるので精一杯になっていた
口からは吐血しシチロウが羨ましくて仕方ない
俺も魔生物専攻ならと心から思った

「あ、そう言えば……」

シチロウはふと思いたったように言った

「彼女今回のでうまくいったようなら別の人で他のも試してみたいっていってたけど、カルエゴ君がライム先生とか女性の悪魔で実践した方がいいって言っちゃったから以降僕らに頼んでくる事はないだろうね。」

「……オーマイ……デビル……」

「か、カルエゴくーん！」

俺はその場に倒れこんだ
まさか自分の采配ミスでチャンスをみすみす逃すとは……
こんな……こんなぁ……
そのまま私は意識を飛ばしてしまった

ーーーーーー

(カルエゴ卿に見られたぁぁぁぁ！)

私は教室で頭を抱えていた
よりにもよって誘惑の練習をしている所をカルエゴ卿にみられるなんて！
まだ完璧じゃないのに！
引かれた……絶対に引かれた！

(どうやってカルエゴ卿に申し開きすれば……！)

カルエゴ卿はあの時特に不機嫌な様子は見られなかった
だが内心どう思っているかはわからない

(……そもそも私の野望はカルエゴ卿にご迷惑なのでは……)

そんな考えが頭によぎる
誘惑を覚えたとて本当は無意味なのかもしれない
あの方の事だ
きっと今まで誰にも惚れたことがないにちがいない
私の事だって一介の生徒としてしか見ていない
特に特別な考えで接しているとは思えない
あの厳格たる佇まい
私の憧れの人
物にしたいとは思う
でもそれがあの方にとっての不幸せなら
私は……

「メイメイー！」

「おわっ！？」

突撃してきたのはウァラクだった
いつになくご機嫌な彼女を少し羨ましいと思ってしまう
明るく活発で小難しい事は一切考えない
素直に笑っていられる

「メイメイ元気ないー？」

「ウァラク……私は……野望を達成できないかもしれない……」

「メイメイ？」

「ずっとこの気持ちを圧し殺して生きていた方が、相手にとってもいいのなもしれない……」

「……それって、もしかしてあの方の事？」

「あぁ。私の野望は……その方をきっと不幸にしてしまうから……だから……」

目が潤む
泣いちゃだめだ
誰かの前で泣くなど……
ハドラの名が廃れてしまう

「……そんなことないもん！」

「！？」

ウァラクは私の両頬をペチンと叩いて挟んだ