蛇竜は番犬に恋をする (ページ6)

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第四魔ページ6

使い魔とは、血の契約により深く濃く繋がれる主従関係を取り結ぶ儀式である
そしてこのバビルスにおいて使い魔召喚は伝統行事であり新入生は必ず受ける
それが悪魔のランクにも繋がる
現在私は使い魔の間にてその講習を受けている
が、私の心は既にキャパシティ崩壊寸前であった

「粛に。監督官のナベリウス＝カルエゴである。」

(はぁぁぁ！)

皆が恐れから動揺や恐怖の眼差しで彼を見据える中私は滾ってしまってどうしようもなかった
無論、へまを見せることは許されないので表情は真剣な顔をキープする

(嗚呼近くで見るとあんなに格好いいお姿なのか……！今すぐ話しかけたい！そのご尊顔をもっと近くで拝みたい！)

彼の声が脳に響くたびに私は真剣な表情をキープするので精一杯だった
そんな中カルエゴ卿は一人の生徒に向かってつかつかと歩いていくと顔をこれでもかと近づけた
入間だ

(あやつぅぅぅ！)

羨ましいにも程がある
カルエゴ卿は先日の入学式の事や乱闘騒ぎについてお叱りになっていたので嫌悪を向けているのは確実だ
しかし
しかしながら

(カルエゴ卿ご自身からあそこまでお近づきになるなんて！)

代わってくれなんて思ってしまう程に私は乱心していた
その後、素晴らしい講義が行われた後、いよいよ使い魔召喚の儀が行われる事となった
皆が次々と使い魔を召喚する中、アスモデウスの番となった
彼が陣に立ち、羊皮紙を燃やすと煙は盛大に燃え上がり、やがて形を成しゴルゴンスネークとなった
上級魔である
入間がすごいすごいと駆け寄れば嬉しそうにお辞儀した
私も素直にその実力は認めていたので拍手を送った
するとそれに気づいた彼はちらと此方を見てあざ笑う様な表情を見せた
どうだ私の使い魔は凄いだろう、貴様如きが入間様に盾突こうなど片腹痛いわとでも言うような感じだ
それにややイラッときた私は良いだろうその喧嘩買ってやるといわんばかりにスタスタと魔方陣の中に入っていった

「おいあれ……！」

「ハドラじゃないか！？」

「あの悪名高い家系の！？」

「ひえぇぇ！」

周りのヤジが耳に入る
そんな事はどうでも良い
深呼吸してから指を歯で噛み千切り流れ出た血で羊皮紙に円を描く
スッとろうそくの火に翳すと煙は大きくなり、やがて大きな犬の形となった
口には槍をくわえている

「ライラプスか……私にお似合いじゃないか。」

どんな獲物も決して逃がさない犬の魔獣
周りからは先ほど同様に歓声が上がった
チラとアスモデウスを見て笑えば、彼は悔しそうに口元を歪ませていた
非常に結構な事だ
さて、次は入間の番
目にもの見せてもらおうか