蛇竜は番犬に恋をする (ページ43)

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第四十一魔ページ43

「メイメイ凄ーい！フルコンボ！」

「別に凄くない。」

私はウァラクとゲームで遊んでいた
ちなみに今やっているのは太鼓の魔王という音ゲーだ
こんなの目押しすればいいだろ
全く、こんな場所に数時間も居座れる奴の気が知れない

「メイメイ！次はあれやろ！クレーンゲーム！」

「そんな金の無駄遣いに等しいゲームはやらん。だいたい目ぼしい物など……っ！？」

直後私は目を見開いた
１つの景品に目を奪われたのだ
それは紫色のペンダント
中には好きな写真を入れられるようになっている
更に犬の装飾まで施されている
カルエゴ卿をイメージして作られたとしか言い様のない素晴らしいデザイン
欲しい……
しかしこんな物何処にでも売って……
そう思ったが当店限定の文字に絶望する
ゲーム機には魔術が効かないよう特殊な加工が施されておりウァラクのトイトイは使えない可能性が高い
となれば……

「メイメイ？」

「ウァラク。」

「ん？」

「この二万を両替機で全て百にして来てくれ。」

「め、メイメイ燃えてる……」

ウァラクに万札を託しクレーンゲームと向き合う
クレーンゲームはテクニックにかかっている
アームの力や正攻法で取ろうとした所で金が泡のように消えていくのは目に見えている
一ミリのずれも許されない

(さぁクレーンゲーム……どちらが根気負けするか試そうじゃないか……)

半ば冷静さを失いながらも私はゲーム機に金を喰わせた

ーーーーー

「勝った……！」

激戦の末、私は勝利した
私はペンダントの入った箱を高々と掲げながた
見える景色は先程と変わらない筈なのにやけにきらびやかで美しく見える
ゲーセンの中でも屈指の難易度を誇っていたらしく、よもや取られるなど思いもしなかった店員は泣き崩れ、観衆は私を称賛した
それもそうだ
百万の物を千で取られれば商売あがったりだ

「メイメイやったねー！」

「ウァラク……」

ウァラクは目を輝かせながら跳ねている

「案外ゲームセンターも悪くないな。」

「だろだろー？」

そう言いながらウァラクは肘で小突いてくる
普段なら一蹴しているそれだが今は気分がよかったので私も小突き返すとウァラクは目を見開いて硬直した
だがすぐ目をあらんばかりにかっぴらいて跳び跳ねた

「メイメイが初めて絡んでくれたー！」

「思い上がるな。今は気分がいいだけだ。」

その後フードコートで飲み物を奢ってやった

「今日は連れてきてくれて感謝する。お陰で良いものが手に入った。」

「フフフ……で、あの方ってだぁれ？」

「ブフー！？」

私は飲み物を思わず吹き出した
こいつまだ覚えてたのか！