蛇竜は番犬に恋をする (ページ41)

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第三十九魔ページ41

「ノワァァァァ！？」

思わず私は腰を抜かした
こ、こいついつの間に！

「き、ききき貴様いつからそこに！」

「えっとねー、メイメイがここに来てから！ずっと独り言言ってたよ！」

「なっ！？」

まさか殆ど声にでていたんじゃ……

「ねぇねぇ！あの方ってだぁれ？知りたい知りたい知りたーい！」

「離せぇ！」

引っ付いてくるウァラクから逃れようとするがちっとも離れない
全くこの珍獣めがぁ……！

「こんのっ……！」

「あの方が誰か教えてくれたら離れるー！」

「駄目だ！他なら……」

「私見た物なら何でもだせるからいいー！」

そうだったこいつの家系魔術は呼出(トイトイ)……！
此方が金目の物を渡したとてこいつはチラシで見ればてにいれられるのだった……くっ……

「ねーねー！」

「嫌だと言ったらいーやーだー！」

ったく何て吸着力だタコもビックリだ
そうこうしている内に空はすっかり茜色に染まっていた

「しまった！帰らなくては家臣達が心配する！」

家臣とは言え魔獣なのだが私が時間通りに帰らなければパニックを起こして逃げ出す可能性がある
それまでには何としてでも帰らなくては……！

「ウァラク！恨むなよ……」

「ほぇ……？」

私は睡眠毒を気体にしてウァラクに嗅がせて眠らせた
あとはこいつを家に帰す方法だったのだが……

「しまった……ウァラクの家はこいつらしか知らない隠れ家だったか……」

ウァラクの家はウァラクしか通行ルートを知らない場所にある
こいつに地図等を見せてもらわなければ辿り着く事は不可能なのだ

「……やむ終えん｡」

私はアスモデウスに連絡した

ーーーーー

「何故こんな事に……」

私は今自室にいる
傍らでは幸せそうにグースカ寝るウァラク
あの後、親への連絡先を知っているアスモデウスにウァラクの家に連絡をいれてもらい、ウァラクを我が家に泊まる事を伝えて貰った
今思えばそのまま親に家まで送って貰えば良かったのだが後の祭だ

「くっそ、しかし困ったな……記憶操作系の魔術を私は知らないし、本を読み漁って習得出来るものでも無いしな……何より調整が酷く複雑だ……どうにか忘れさせたいが……」

こいつは私が誰かを慕っている事を知っている
それが誰かは発言していないのだからわかるわけもない
が、今後それを知るためにあらゆる手段で聞き出そうとしてくるだろう

「しかしまぁ、起きたら忘れているという事もあるしな……」

忘却魔法については明日調べるとして、今日は寝よう
私はウァラクを抱き締めるようにして眠った
明日の朝家具が壊されていたらたまった物では無いからな