蛇竜は番犬に恋をする (ページ32)

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第三十魔（入間Side）ページ32

「メイ大丈夫かなぁ……」

朝から何だかメイの様子が変だった
聞けば１ヶ月寝てないらしい
人間なら死んでるだろうそれに耐えうるのは悪魔の丈夫さと魔術のお陰か
でも僕は心配で仕方なかった
心配いらないとは言っていたけど今もどこかボケーッとしてしまっていて心ここにあらずという状態だ

「朝も飛行中にふらついて落下しかけてましたので相当の負荷がかかっているかと……あんな極限状態でよくあそこまでの結果が出せていたものです……万全ならどうなっていたか……」

アズ君は眉を潜めそう言った

「悪魔は丈夫ですが死ぬ事には死にます。あまり無理はしない方が良いのですが……」

「ゲッ！見ろよ生徒会だ。」

ジャズ君が指差す先には黒い制服の上級生とおぼわしき悪魔が二人話し込んでいた

「生徒会は下級生の塔なんてほとんどこねぇのに……」

(へぇ、生徒会とかあるんだ……)

「一体何をしに……」

「愚問！」

ゴエモン君の声を遮って叫んだのはサブノック君だった

「2位階にして次期魔王！この己の拝見に決まっておろう！」

「何その花！自分で鉢壊してる！」

心配する心が一転驚きと恐怖で埋め尽くされてしまった
顔のついた花はバリバリと鉢を食らっている
人間も食べるのかな……

「ヌフフ……破壊神と名付けた！」

「いや鉢壊しちゃ駄目だろ、死ぬじゃん。」

「評価B+。」

「ヌオオ！？何故！」

あまり良い評価は貰えなかったようでサブノック君は地団駄を踏んだ

「フンッ、全く品のない！」

「おおお！」

「燃える花だ！スゲー！」

一転アズ君の花は美しく燃え盛り、綺麗だった

「綺麗！A+です。」

「フッ、これが気品というもの……」

「花には水をやらねばな。」

「ああああ！」

サブノック君は気に入らなかったのかアズ君の花の火を消してしまった
あー……

「貴様っ！我が血統の証の火を……許せぬ！」

「ヌハハハ！怒りっぽい奴よのぉ！よし！ヌシの頭も冷やしてやろう！」

アズ君は火を
サブノック君は水の入ったバケツを片手にドンパチ喧嘩が始まってしまった
何でこうなるのかなぁ……

「静かにしないか！授業中だぞ！」

戦乱の中、爆弾が落ちたかの如く怒号が響いた
声の主はメイだった
元気になったかのかと思ったけど顔はまだ少し青ざめていた

「喧嘩するのは一向に構わないがドンパチやるなら外でやれアホ！」

「グッ……」

「そう言うヌシは何を咲かせたのだ？」

メイは黙って鉢を見せる
咲いていたのは紫色で少し触れただけでも指を切ってしまいそうな程鋭利なトゲとコブラの様にうねった形をしたサボテンだった