蛇竜は番犬に恋をする (ページ30)

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第二十八魔ページ30

「はい、お母様。学業は順調に進んでおります。はい……はい……では夜分に失礼致しました。御休みなさいませ。」

電話を切ると私はベッドに横たわった
といっても眠れない
まだまだやらなくてはならない事が山程あるのだ
勉学、魔術、あらゆる技術を身に付けずして高位階悪魔にはなれない
普段の睡眠時間も一時間、何なら寝ない時もある
それ位しなければならない
これは野望に対する執着故なのかもしれない

(お母様は睡眠をとれと幼い頃はうるさかったが今ではお仕事が御忙しくそうも言ってられないだろう。)

心配なさっている事だろう
しかし、悪魔学校での位階昇級は悪魔の誉れであり如何なる手段を用いてでも手に入れなくてはならない

「よし、今日もギリギリまで励むぞ。」

朝の特訓もあるが明日から本格的に授業に入る
その予習をたっぷりしておかなくては
私は机に向かい、山のような参考書と長い夜を共にする事にした

ーーーーー

『いつも高飛車ぶって憎たらしい。』

憎たらしいなら私より強くなればいいでしょう

『お前がいると何もかもうまくいかない！』

それは貴方の実力不足では？

『全部全部あんたのせいなのよ！』

私が何をしたのか説明していただければ謝罪致しましょう
言いがかりならばよして下さい

『私達を見下してそんなに楽しい？』

そもそも貴殿方に興味などこれっぽっちもございません

『何のためにそんなにでしゃばんだよてめぇは！迷惑なんだよ！』

でしゃばっているつもりはありません
そこまでいうのならば貴方がやってみてください
私よりもよい功績を叩き出せるならば

全てはあの人のお側にいれるようになるため
その為にはどんなことだって……

『お前なんか、誰も求めてなんていないよ。』

ーーーーー

「……」

何て夢見の悪い朝だろう
今更昔の事を思い出すなんて
机でそのまま寝ていた私はめざ魔し時計の奇声で目を覚ました

「……特訓の時間。」

いつでも出掛けられるように制服に着替えると私は外に出る
外にはいつも通り使い魔達が並び、的を持って並んでいる
この特訓の主題は力の調整とコントロール、集中力の向上だ
使い魔の内一匹が笛を高らかと鳴らすと俊敏な動きで全員がバラバラに動き回る

「毒針(ポイズンニードル)。」

光を放つ魔力で構成された針は次々と的を破壊し跡形もなく溶かしていく
使い魔には当たらないよう調節して的確に
数秒もしない内に百あった的は全て打ち砕かれ地面に落ちる

「こんなものか。」

さて、入間様を迎えにいくとするか
私は空腹を抑えるサプリメントを飲みサリバン邸へと飛び立った