部下が優秀すぎてむかつく件について (ページ22)

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第二十一話ページ22

創立祭ということもあって倉庫周辺に人気はない。倉庫に金を掛ける必要は無いだろうと、何年も修繕されていない重い扉を開く。
ギィイという不快な音に顔を顰めつつ、埃っぽいそこに足を踏み入れた。

中は暗く、手探りで電気のスイッチを押す。
蛍光灯の無機質な光が衣装を照らした。
1つ広げてみると、1年は放置されていたためか埃が舞った。

しかしそんなことは取るに足らないほど、私が目の前の衣装に興奮していたのは事実だった。
服だけではなくウィッグも置いてある。

―― どの服をアイツに持って行ってやろう！

そう考えただけでも頬が緩んでいく。

その時背後で物音がした。
振り向くとそこには、お世辞にも清潔とは言い難いふくよかな男性が立ってこちらをじっと見ている。

我が校の関係者あるいは生徒の身内だろうか。とは言え、こんな人気のない所にいるのは何となく怪しい気がした。
けれどもこの広い敷地だ。迷ってここに来てしまうことも有り得るだろう。

そう考えた潮は、1度手に持っていた衣装を元に戻すと、失礼のないようにと笑みを浮かべて男に話しかけた。

「何かお困りですか？」

「………。」

「……あの………？……っ、うわっ！？」

黙りこくるその男を心配して更に近づいた途端、肩を強く捕まれそのまま押し倒される。
あまりに咄嗟のできごとで上手く受身が取れず、背中に衝撃が走った。

「いっ……、おいっ！貴様っ……」

思わず声が漏れる。
ぐふっという気持ち悪い笑い声が頭上から降ってくるのと同時に、不清潔なんて言葉では表せないくらいの悪臭が潮を襲った。
あまりの不快感にどうにか男から逃げようともがくが、彼の体重のせいで身動きが取れない。

「この、この学校の、じょ、女の子がレベル高いのは知ってたけど、男の子も、可愛いんだねぇ……。ちょうど魔法少女の、衣装があるし、み、見てみたいなぁ」

鼻息を荒くして、早口に話す彼は……、率直に言おう。

「気持ち悪いっ！！！」

臭いし重いし不快でしかない。
しかもあろう事か、ブレザーのボタンに手をかけて外してくるではないか。
「離せ……っ！」と手で押し返すも、両手首を頭の上で押さえつけられてはそれ以上どうにも出来ない。

抵抗虚しく身ぐるみを剥がされる。
暴れるのも意に介さず、乱暴に衣装を被せられた。
上はフリル、下は制服のズボン。これからどうなるかなんてことは想像したくなくてもできてしまった。