第200話 マヨネーズって不味いよね ページ10
「夏実!!」
品川夏実は弁当を忘れたため、食堂で食べてから教室に戻っているところだった。
聞き覚えのある失恋同盟の沖田総悟に酷く焦った様子で引き止められる。
「うわ!!どうしたの。沖田君」
「お前、何処にもいないから焦りやしたぜ。昼休み終わっちまう」
「食堂にいたよ、お弁当わすれちゃって。
……何かあった?」
珍しく少し息が切れている沖田、に何かただならぬ事があったのだろうと夏実は声を潜めてそう聞いた。
「アイツ……水早龍太……本当に大丈夫なのかィ?」
「……放課後、ファミレスに行こう。そこで話すよ。それは昼休みが終わるまでに終わるような話じゃないよ」
――――知ってしまったか。
夏実は酷く焦った。そのことは今朝、土方に“お願い”をする時ですら言おうかどうか迷った事だ。
結局彼にも詳しくは話せていない。
本当は沖田君と土方君の2人ともに聞いてほしい話なのだが、Aの前でする訳にはいかない。
かといって、龍君の様子を聞く限り、Aを放課後に1人にするのも不安だ。
しょうがないから、土方君はまた今度だ。
今日はとりあえずAと一緒にお勉強をしてもらおう。
Aのためにも。
福田Aは教室に戻ってから勉強をしていた土方に愚痴っていた。
「でさぁ、総悟に置いていかれちゃったわけ。悲しくない?酷くない?」
「そうだな」
「今頃夏実と仲良く話してるんだよ。私を捨てて」
「そうだな」
「……土方聞いてないでしょ」
「そうだな」
「マヨネーズって不味いよね」
「殺すぞ」
「聞こえてるんじゃん。ならちゃんと聞いてよ」
酷いよ土方君。目も合わせてくれない。
まぁ勉強してる横から話振り続ける私もどうかと思うのだが。
そんなちょっかいをかけていたが、予鈴がなったので席に戻ることにする。
土方は相手をしてくれないので、今日の国語プリントをしよう。
放課後になると、総悟と夏実はすぐに2人でいそいそと帰ってしまった。
本当に最近仲良いな、あの2人。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2017年12月13日 20時