第199話 女心を察しろ ページ9
帰ろうとする総悟をなんとか椅子に座らせる。
ここまで来たら絶対に逃がさない。
そんなこんなで私達は、微妙な空気感の中昼食を食べ始めた。
以外にも総悟と龍太は波長が合うのか、話が続き、会話が途切れることは無かった。
これに関してはひとまず安心だ。
そして、案外何事も無く、昼休みは終わろうとしていた。
「あ、私ちょっと」
「おいお前。何でィ、ちょっとって」
椅子から立とうとしたら引き止められた。
いやいやいや。
「女の子が男の子の前でちょっとって言ったらトイレって意味なんだよ。察しろ馬鹿」
「あ、そうだった。お前女の子だったねィ」
「ねぇ何なの?君といい土方といい。私そんなに女捨ててないでしょ?」
「アラ、土方さんと意見被ったのかィ。じゃあやっぱお前は女の子で」
「そんな簡単に意見変えるのかよ。どんだけ土方のこと嫌いなんだ」
と言って、私だけ保健室を出る。
しかし私は知っているぞ総悟。お前が私のこと女と思ってないなんて嘘だということを。
だってお前告白してきたもんね。私に。
土方のその台詞には信憑性あるけど君のにはないもんね。
つまり君は今私の中で勝手に照れ屋さん扱いだもんね。ざまぁないね。
トイレから出て、保健室へ足を進めようとすると。
「待ってやしたぜ」
トイレから出てすぐの廊下に総悟が立っていた。
「……何してんのお前」
「お前のこと待ってたんでさァ」
「何でこんな所で待ってんのって話。保健室に居てよ」
乙女が何でトイレに1人で行くのか分からないのかコイツは。
乙女心が分からないにも程があるだろう。
そう思いつつ睨みつけていたら、奴はこちらに寄ってきて耳打ちしてきた。
「水早って、お前といるときちょっと緊張したりしてやしたか?」
「はぁ?」
質問の意図が分からずに素っ頓狂な声が出る。
何でそんなこと聞くんだ。
……でも、まさかそんな緊張だなんて。
「してなかった…はずだけど。少なくとも私はそんな風に感じなかったよ。
どうしたのよ」
「いや、まぁ……いや、ちょっと待ってくれィ」
そう困ったように頭をかく総悟。
そして、
「ちょっと夏実のところ行ってくるんで、お前先に教室に帰っててくだせェ」
「え!?ちょっ」
意味が分からなさすぎて引き留めようとするが、総悟はそう言って走り出してしまった。
「……えぇ……?」
ぽつんと残された私。
なんだこれ。私がトイレに行ってる間に何があったんだ。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2017年12月13日 20時