第230話 甘えたくない ページ40
「……はい?」
お手本のような素っ頓狂な声が聞けた。
「おぉー良い反応」
「ど、どういう事だよ。何だよ、優しくするからって」
「そのまんまの意味だよ」
君は私が本当に追い詰められた時にすぐに助けに来てくれるから、ダメ。
夏実や総悟はなんだかんだ私が本当に乗り越えなきゃいけないことには厳しいから。
背中を押す言葉は言っても、怒ってくれても、甘やかしたりしない。
でも、土方はそういう時、私の欲しい言葉をくれるから。
正解に近づくための言葉をすぐにくれるから。
だからダメ。
「私は、君と私の関係を龍太と私の関係と同じにしたくないよ」
甘えちゃうから。
せっかく1人で立てそうなのに。
「私はちゃんと1人で生きなきゃ。君と友達や親友になっちゃうと、君に甘えてしまいそうで怖いよ」
また友達がしがらみになるのは嫌だ。
友達だからと甘えて、何の解決もせずにその場から動けなくなるのは嫌だ。
君が自由じゃなくなるのは嫌だ。
「いや意味わかんねぇんだけど」
なるほど全く理解されなかったらしい。
何言ってるんだコイツみたいな目で見られる。
「どのへんが分からんかったの」
「全てだよ。なんだそれ。友達に甘えることの何が悪いんだよ」
「だーかーらー、私と龍太はちょっとおかしいらしいのよ。その原因は、龍太が優しいのを良いことに甘え続けた私だから。
だから、土方にはそうなって欲しくない」
「ならねぇよ。前のお前のことは知らねぇけど、今のお前は水早がいなくてもちゃんとできてるだろ。なら、今のお前となら心配ねぇよ」
「そうじゃないんだよ。今はそういう人がいないからちゃんとするしか無いだけで。
甘えてられる人がいれば私はまた駄目になる」
「1回1人でやっていけたなら、平気だろ」
「はー?わっかんない奴だなー」
「こっちの台詞だよ」
ダメだ。これではただの水掛け論だ。
というかそもそもの話、なんでこんなに土方は私と友達になりたいんだろう。
こんな私と。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2017年12月13日 20時