第226話 出たくない ページ36
「本当に電話出なくていいのか?ずっと鳴ってんじゃねぇか。大切な用事かもしんねぇだろ」
「大丈夫だよ。誰がかけてきてるかはだいたい分かってるから」
「誰だよ」
「龍太」
「はぁ!?」
「うるさい」と眉をしかめるA。
けどお前、おかしいだろ。お前が、水早の電話を無視するなんて。
何があったんだ。
「容態がヤバイとかじゃねぇのか、それ」
「大丈夫でしょ。だって龍太は病気じゃないのよ。意識がなかった時の影響で抵抗力と体力が弱まっているだけで」
「いや、でももし……」
「うーん、私、今龍太とあまり話したくないっていうか」
「ぜってぇそっちが理由だろ」
「ばれたか」と小さく笑うA。
というか、ツッコミで冗談にしかけたけど今のおかしくないか。
話したくないなんて。
「何かあったのか」
「なんかっていうかさ……昨日山橋君…あ、覚えてる?夏休みの試合の時に会った子ね?」
「あーなんか会ったな」
「で、ソイツと話してて龍太に関するとあることを知っちゃったわけよ」
「あることって?」
「実は龍太が超怖い奴だってこと」
「……どういうことだ?」
全く話が掴めない。
怖い奴ってどういうことだよ。
「私の見てない所で、山橋君にガン飛ばしてたりしてたんだって」
「……アレ、水早って俺が想像してたのとだいぶ違う感じなのか?」
「いや、多分その想像で合ってるよ。私の前での態度はね」
それはつまり、こいつの前では猫を被ってるということだろうか。
幼馴染みの前で?何のために?
ふと、数日前の昼休みに夏実に言われたことを思い出す。
――――――総悟が俺のことを水早から守った。
あれは案外本当だったのかもしれない。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2017年12月13日 20時