第223話 違い ページ33
まあここまできたら仕方ない。
取り留めの無いことを話しながら、土方の家までの道を進む。
そういや土方の家見たことないな。
「土方ん家ってここからまだ遠い?」
「いや、すぐだ」
あら、意外と学校から近所でしたか。
学校から近所ということは私の家ともそれほど離れてないのかも。
「今日は家に人居るの」
「多分いねぇな。朝、仕事に行ってた」
「ふーん」
「じゃあ気兼ねなく寝られるね」と言うと、頭上に疑問符が浮いてるような顔をされる。
「そうかァ?」など、疑うような声を出すので、少しムッとして言葉を返す。
「何よ。私何か変なこと言った?」
「家に人がいる方が、気兼ねなく寝られるだろうが。頼めば弁当も洗って貰えるわけだし、ハンカチなんかも、自分で洗わなくて良いし」
「そう?弁当を洗う時にダイニングに親が居たら正直ちょっと嫌だと思うけど。ていうか私弁当じゃないし。普通に嫌なだけだわ」
「あーはいはい、忘れてた。俺とお前は家庭環境がちげぇんだったな」
「あっ確かに」
どうりで会話が噛み合わないと思った。
そりゃあそうだ。土方君のような天然タラシ(?)の生まれる家がこんなクソみたいな性格の女が生まれる家と同じ環境なはずが無い。
そんなことを話していたら、いつの間にかもうすぐそこに土方の家が見えるところまで来た。
「お。アレだよ、俺ん家」
「へー。ま、私の家の方が立派ね」
「……お前家庭の経済状況について触れて欲しいのか欲しくないのかどっちなんだ?」
私からは触れるけど他人からは触れて欲しくないんだよ。
ただのワガママだよ。
ワガママだが同時に私は凄く優しいので、玄関の前まで送ってやった。優しいからね。
「じゃ、ちゃんと寝るんだよ」
「分かってるよ、お前は俺の母ちゃんか」
「私は子供をこんなマヨネーズ狂いになんてしない」
『うるせぇよ』
と、いつもならそう返ってきただろう。
しかし、次の瞬間、土方は私の視界から消えた。
突如体に重みを感じて、尻餅をついた。
初めは突然の事で何もよく分からなかったが、体の上にある重みが土方のものであることを数秒後に理解した。
人には限界があるものだ。
土方が、倒れた。
20人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2017年12月13日 20時