第222話 好意じゃなくて厚意 ページ32
その後、保健室行くことを何度も勧めたが、6限目も7限目も出席しやがった。真面目なんだからー、ホントにもー。
で、放課後。
ボロボロの睡眠状態のくせに、居残りの勉強はするとか言っている。
「勘弁してよ。土方が倒れたら私責任とれないんだから」
「そうですぜィ、土方さん。Aが倒れても土方さんならなんとかできやすが、逆となると、コイツはなんとも出来やせんぜ」
「そうだよ土方君。Aは女の子な上に平均的な体力もないんだよ。何も出来ないんだよ」
「夏実も総悟も説得にかこつけて私の非力さを貶すのはやめなさい」
気にしてないわけじゃないんだからな。
2人の説得のおかげで、土方も徐々に意見を変えたようで「そうだな、Aは非力だし」などと言っている。
なんだこれ。なんだみんなして。いじめか?
「とりあえず今日は帰るわ」
「そうしときな」
「A、土方さんのこと、送ってやったらどうでィ」
総悟の言葉が意味不明すぎて、は?と声にもなら無かった。
なんで私が。
「何言ってんだ総悟。そこまで酷いわけじゃねぇよ」
「分かんないよ。今は学校だし、気を張ってるだろうから大丈夫かもだけど、帰ってる途中で気が抜けて倒れちゃうかもしれないでしょ?」
何やら夏実も賛成のようだ。
私にも「ね、A、どう?」と尋ねてくる。
しかし私は。
「土方を送っていくべきか否かは別として、その役は沖田君がやればいいと思いました」
「これから土方さん、1週間は学校来れなくなっちまうが良いですかィ?」
「………じゃあ夏実」
「ん〜〜……元カレ?」
「あー、はいはい。そういやそうでしたね。はいはい」
クッソなんだよこれ。そんなんアレじゃん。
「一人で帰るしかないね」
「いやAが送ってあげるんだよ!!」
「いや、別に俺は本当に平気……」
「まーまーまー。Aの好意に甘えとけばいいんだよ、土方君は」
「好意じゃなくて厚意。そこは頼むから絶対に間違えないで夏実」
ていうか厚意も好意もねぇよ。
結局、総悟と夏実に押し切られて送ることになってしまった。なんでだ。
「大丈夫大丈夫!!Aは根は優しいから。途中で置いて帰ったりされないから!!」
「いや別に一人で帰れるんだけど……」
最後まで土方君の意見は聞いてもらえなかったね。
ちなみに夏実と総悟はこれから2人で話があるから一緒には帰れないそうだ。
なんだそれ。ちょっと怪しいな。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2017年12月13日 20時