＊…恋する事を思い出した君に…＊3 (ページ26)

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第216話　怒りの理由ページ26

語る度にだんだんと涙声になって、ついに鼻をすすりだした山橋君。
こいつ大丈夫なの。

「お前が俺に話しかけると、水早が睨んでくるんだよ……俺はそれが嫌で、話しかけんなっつってんのに、お前は…お前は……」

「だって嫌がる山橋君おもしろいから。まさか私が嫌なんじゃなくて龍太が睨むから嫌だったなんてね。ごめんね」

「いや、お前も嫌なんだけど」

「……」

「いててて!!そういうところだぞ!!何か気に入らない事があったら無言で暴力振るうところも嫌いだぞ!!」

ムカついたので足を踏むとそう指摘された。
よく私のことを分かっている。分かった上で嫌いと言われるのはあまり嫌いではない。
だからこそ小中学生の私は山橋君がお気に入りだったのだろう。

「ねぇ山ちゃん」

「いきなり馴れ馴れしく呼ぶな」

「龍太に数年睨まれ続けた君的には、龍太が怒ってる理由は何だと推測するの?」

「……そうだな……――――――あ」

ぱっと顔を上げて、何かに気付いた様子だ。
なんだなんだ。
息を飲んでその言葉を待つ。

「夏休みのアイツとか、文化祭のアイツとかって友達だったっけか?」

「……フワフワした言い方だけど、まあだいたい分かるから良いよ。
そうね、友達ってことにしておいて」

「何だよそれ」

「夏休みの奴の方は色々複雑な事情が絡み合って別に友達ではないけどそれを説明するのが面倒臭いから別に友達でいいよって話」

「なんだよ、友達以上恋人未満てやつか?」

「ピーマン以上ゴボウ以下って感じかな」

「訳わかんねぇ」

分かんなくていいよ。適当に言ってるだけだから。

「そいつ等のこと、バレてんじゃねぇの」

「バレてるって?」

「だからなぁ、話聞いてた?お前。
水早はお前が水早以外の奴と仲良くすんの気に入らねぇんだよ。だから、自分が意識無い間に、お前が友達作ってたからキレてんだろ」

………なにそれ。
そんな理由?

私が、龍太以外と仲良くしたからって、そんな。
そんな子供みたいな。

でもこれは有り得ない話じゃない。
私はもう何年も龍太を縛り付けてしまっていた。
私と恋仲になりたい龍太を、友達以上の関係を許さずに傍に置き続けた。

それが自分のいない間に別の場所にちゃっかり乗り移ってるのだ。
裏切られたと思って当然だ。