第215話 知らない話 ページ25
「え?どういうこと?あいつは皆に優しいじゃない、私に対してほどとはいかないかもだけど」
「アホか。俺達相手の時のアレは『優しい』じゃなくて『当たり障り無い』って言うんだよ」
「……でも、誰かに怒ったりしてるのは見たことないし」
「お前の前では、な」
え、どういうこと。
意味わかんない。
龍太は私と夏実の幼なじみで。
ずっと優しい笑顔を絶やさないやつで。
何をしても怒らなくて。
私と違って誰とでも自然に接することができるやつで。
誰とでもいれるのに、私が寂しい時には絶対に私の傍にいてくれて。
自分の気持ちを押し殺してまで私といてくれるような優しい人間で。
そんな龍太が、私以外には怒っていたなんて。
私の知らない所で。
「……山橋君は」
「あ?」
「山橋君は、龍太に怒られたこと、あるの?」
純粋に疑問だった。
私の知らない龍太を知りたいと思った。
かつての彼が、一体どんなことに腹を立てたのか、とても気になる。
しかし。
「はぁーーーー……」
とても深いため息を吐かれた。
何故に。
「お前はほんっと分かってねぇよな!!」
「は?何が」
「あのなぁ!!水早が俺にキレる理由はなぁ!!お前だよ福田A!!」
「……はい?」
どういうことだ?
と、尋ねなくてもつらつらと語ってくれた。
それはもう辛そうに。
「お前が居たからなァ、お前が俺に構うからなァ、水早が俺のことを睨みつけてくるんだよ…」
「気のせいじゃない?」
「んなわけあるか!!そのたびに俺は肝を冷やして……お前のイジリと水早の怒りに同時に対応なんて小学生が出来るわけねぇだろ……」
「何言ってるの山橋君には上手く出来てたじゃない。5年くらい頑張ってたじゃない」
「上手く出来なかったからお前のパシリみたいになったんだろうが!!」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mire | 作者ホームページ：http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時：2017年12月13日 20時
