第213話 ポンコツ自販機 ページ23
「なにしてるのよ、こんな所で。ベタベタ触るんじゃないわよ、指紋がついちゃうでしょ」
「くそ……お前にそんな正論言われると思わなかった」
「どういう意味?」
少し失礼じゃない?
自動販売機から手を離し、「はぁ……」と、落胆のため息を吐く。
なんだこいつ。
「何かあったの」
「お前には絶対言わねぇ」
「……」
彼の足に私の足を乗せて体重をかける。
「いてててて無言で足踏むな!!!」
「踏んでないわ、乗ってるだけ」
「変わらねぇだろ!!」
「てか山橋君のくせに何私の質問を拒否しようとしてんの。早く教えなさい。貴方がそんなに落胆している悲しい理由をはやく吐け」
「本当お前いい性格してるよな!!」
「山橋君が褒めてくれるなんて珍しいね。ありがとう」
「嫌味だ!!」
そうなんだー、全然気付かなかったよ。嘘だけど。
踏んでる……いや、乗せている足にさらに体重をかけてグリグリしてやると、観念したように口を開いた。
「この自販機に、500円玉入れたら」
「入れたら?」
「10円て判別されたんだよ……」
は?
「なにそれ面白〜!君、自販機にも舐められるとか何なの天才なの!?」
「くっそ……だから言いたくなかったんだよ……」
「いや〜可哀想可哀想。かわいそすぎて笑いが止まらないよ。フフッ」
「なんだよ!!もう良いだろ帰れよ!!」
「えー、どうしよっかな」
なんだかこのまま帰るのも味気ない。
そうだ。
「可哀想な山橋君のために、私が特別にジュースを奢ったげよう」
「マジかよ、明日地球なくなるんじゃねぇの」
「どんなだよ」
そう言いながら、自販機に100円玉を3枚。
「何飲みたいの?」と言いながら購入ボタンが点滅するのを待つが、一向に点かない。
あれ?と思いながらお釣りレバーを押すと。
10円玉3枚になって帰ってきた。
「ハァ!?何こいつふざけ無いでよ!!」
「うわ〜!!ざまぁ!!」
「うるせぇ山橋!!なんだの自販機!!撤去されろ!!」
ガタガタ自販機を揺するが、悲しいことに私は非力なので全然揺れない。
むしろ揺すってる私の首の方が揺れてる。
結局、各々でジュースを買って、公園でお話することになった。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2017年12月13日 20時