第207話 夏実は以外と打算的 ページ17
すっかり拗ねてしまって、机に顔を伏せてしまった土方の肩を夏実はぶんぶん揺すって励ます。
土方は返事もしないが。
「もー冗談だって土方君!!土方君は私にとって元彼で友達だよ!!」
「元彼と友達の比率は?」
「元彼9割友達1割」
「ほとんど元彼じゃないの」
「お、Aがそんな質問するからさらに伏せ方が強固になってらァ」
「え、私のせい?夏実のせいじゃない?」
「いや、私のせいになるの嫌だからここは沖田君に賛成」
「夏実って割と打算的だよね」
頭悪そうだけど意外とそのへん上手くやるよね。嫌いじゃないよ、そういうところ。
「じゃあめでたくAのせいになったし、Aが頑張って元気づけてね」
「うそでしょ。そんなルール聞いてない」
「今決めたからね!」
まじかよ先に言えよ。
てかこれそんなルールとかあるゲームみたいな感じだったの。
なんで元気づけるのが罰ゲームみたいな扱いなの。それはそれで酷くないの。
しかしルールなら仕方ない。
土方の肩にぽんと手を置いて。
「オラ、土方。さっさと顔上げて本を開け。勉強しろ」
「いや元気づけてって言ったじゃん!!?」
なにしてるの!?と突っ込む夏実。
しかしお前は一般的な励まし方をしろなんて一言も言わなかっただろ。
それに土方も無言で体を起こして参考書を開いたんだから結果オーライだ。
その後、土方十四郎は他の3人の談笑を聞き流しつつ、しばらく勉強した。
そしてもうすぐ予鈴が鳴るな、ということで、食堂から出ることになった。
食堂から校舎に向かう渡り廊下を4人で歩いていると、後ろから軽く制服を掴まれた。
前を歩いているのはAと総悟だ。
ならば後ろにいるのは。
「なんだ、夏実」
「沖田君のこと怒っちゃダメだよ、土方君」
「は?」
いきなり何を言い出すんだ。
怒るっていうのはあれだろうか、水早龍太に俺が紹介されなかったことだろうか。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2017年12月13日 20時