第190話 何か面白い話して ページ48
その日の夜の事だった。
土方十四郎は、勉強がひと段落着いたので床に入ることにした。
スマホのアラームをセットして布団を被ると、またいつもの原因不明の不安が彼を襲う。
胸がモヤモヤして、心拍数が上がる。
どうにも眠れそうに無い。
そんなとき。
いきなりスマホの着信音が鳴る。
誰だよ、こんな時間にとぼやきながら着信画面を見て目を疑った。
現実かどうか疑いつつ恐る恐る電話に出ると、
「あ、起きてた?何か面白い話してよ」
その無茶ぶりをする声は着信画面の通り、福田Aの声だった。
「……こんな遅くに何て用で電話してきてんだお前」
「私決めたから。面白い話聞くまで寝ないって。だからほら、面白い話寄越せ」
「そういうのなら総悟に頼めよ。アイツ落語好きだし知ってる小話とか話してくれるだろ」
「やだ私落語の面白さあんまよく分かんない。だからほら、早く」
「そんなん言われたっていきなり出ねぇよ……」
「てかさ、土方今何してたの」
「え?もう寝るところだよ」
「じゃあ私のこともついでに寝かせてよ。ホラ、面白い子守歌ならぬ子守話的なの寄越せホラ」
「何だよ子守話って……」
思っていた以上に下らない話で気の抜けた土方は、起こしていた上体をベッドに沈める。
こちらが話を渋っていたら、Aはなにやら勝手に世間話を初めた。
「なんかさ、私最近思うんだけどさ。
夏実と総悟ってやっぱり少しよそよそしくない?」
「そりゃあだってそうだろ。でもそんなに言うほどか?」
「いやまぁ、休み時間は普通だよ。でも放課後になると二人してすぐに帰っちゃうしさ」
「勉強とかしてるんだろ」
「じゃあ何で二人一緒に帰ってるの?あんなに仲良かった?怪しくない?」
「何がだよ」
「付き合ってんのかな」
「ハァ!!?」
「邪推が過ぎるだろ!!」と突っ込むと、「それもそうか」と受話器の向こうでAが小さく笑う。
本当に何しに電話してきたんだコイツ。
「話は飛ぶけどさ、総悟と言えばあいつ進学しないんだってね」
「え、そうなのか。どうするんだよ」
「落語家に弟子入りだって」
「ハァ!?そんなん初耳だぞ!?」
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2017年10月24日 20時