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山崎side。
自室で休んでいたら、食堂がやけに騒がしくところどころで悲鳴が聞こえる。
…何があったんだ?
そう思ったのと同時に俺の部屋の襖が勢いよく開いた。
「おい山崎ィ!!お前の彼女倒れたぞ!早く行ってやれ!」
と副長が言った。
青い顔をした俺はすぐに食堂に駆けつけた。
着いた頃にはAちゃんの顔は息苦しそうにしていて、
顔色もそんなによくない。
……無理、しすぎたんだ。
俺はAちゃんを抱き抱えて、急いでAちゃんの自室に向かった。途中、「や、っま、ざきさん?」と途切れ途切れの声が聞こえたような気がしたが、それを気にしている余裕もなかった。
申し訳ない、と感じていたが、今は緊急事態なので布団を出してAちゃんを楽な体勢にした。
「全く……、なんで君はいつも無茶ばっかするんだ。」
「……ごめんなさい。どうしてもプレゼントを渡したかったんです。」
「…へ、…プレゼント?」
「ちょっと待ってください。」
「だ、ダメだよ!今は動いちゃ……、」
Aちゃんの机の下には綺麗な花束があった。
花のことをよく知らない俺にでもわかる花。スズラン。
Aちゃんは照れ臭そうにしながら、「センスないかもしれませんけど」と言って俺に渡した。
花の中にはメッセージカードが入っていて、
『お誕生日おめでとうございます』と書かれていた。
俺の顔は今にも沸騰しそうなくらい、熱かった。
そして、もう一度Aちゃんは「退くん、誕生日おめでとう」と笑顔で言った。
…名前で呼ばれた。
めちゃくちゃ嬉しい。嬉しすぎる。
「ちょ、ちょっと待って。ほんと無理……。」
「え、…や、やっぱり…、」
「ち、違う違う!!なんかもう……、嬉しすぎて」
「よかった……。あ……あの、よしよかったら今日を記念日に…。」
「私をもらってください。」
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終わり←49。
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作者名:サラダ | 作成日時:2024年1月15日 13時