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「Aちゃんって山崎のこと名前で呼ばないのか？」
「え、？」
なんとなく資料の整理をしていると、
近藤さんに廊下でばったり会った。
そして呼び止められてこんなことを聞かれてしまう。
あっちも名前で呼んでくれてるし
呼んだほうがいいよな、と思ってはいたんだ。
…だけどいざ、そうしようとすると。
「は、恥ずかしくなって…その……、どうしても山崎さん呼びになっちゃうんです」
「なんだ可愛いな！じゃあ一緒に退さん、って呼ぶ練習しようぜ！」
「なっ、嫌ですよ！山崎さんが名前呼んでほしくない人かもしれないんですよ！！」
「いねぇよそんなやつ！！」
いる、いない、のくだらない論争を続けていると、
山崎さんがこちらに気がついた。
今来たらまずい。
絶対近藤さんに名前で呼ばされる。
「おう山崎、ちょうどいいところに。」
「そんなに騒いで一体どうしたんですか？」
「いや実はAちゃんに、」
「失礼します！！！！！」
うまくいかない。
真選組で働くようになってから、山崎さんへのスキンシップが全然うまくできない。
理由は簡単。
知り合いがいるからだ。
知り合いがいるから下手踏めば、からかわれるのは当然。うまくいってもからかわれる。
そんな状態で名前で呼ぼうとするなんて、自 殺行為だ。
…かと言って、一生苗字で呼び続ける、ということは絶対にしたくない。
どうしたら…。
「うんうん、唸ってうるせェよ雌豚。」
「…………沖田さんは…、好きな人に名前で呼ばれたら…どう、ですかね」
「…どうってどういうことでィ」
「なんかこう……気持ち的な？」
沖田さんは「はぁ……」とため息を漏らした。
…また私、なんかした？
あの時みたいに…、押し倒される？
怖い。
「あんたって人は本当にバカすぎまさァ」
「…え？」
「普通聞くかィ？仮にもあんたを狙ってるんですぜィ。」
「わ、私は…そんなつもりで聞いたんじゃ、」
「……まぁ、…反応によっちゃ苛めたくなる」
「……。」
そっか、この人はこういう人だった。
サディスティック星から来た王子だもんね。
…いや私は何を納得してるんだ。
「…押し倒されると思いやしたか。」
「……私はあなたのそういうところも怖いです。」
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作者名：サラダ | 作成日時：2024年1月15日 13時
