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「実によい旅であったな…。
「敬礼!!!」
みんなピシッと頭に手を当てる。
私もそれにつられてしまう。
土方さんと近藤さんが将軍様にお礼を言った後、
なぜか将軍様が私に駆け寄ってきた。
他の隊士達もみんなびっくりしている。
「よい旅にできたのはそなたのおかげでもある。
これを受け取ってくれぬか。」
「へ、…。」
手に、口づけをされてしまった。
さすがの私もこれは予想外。
首から上へと、顔が熱くなっていくことが分かる。
そうか…、今更気づいたけど、将軍様って私が彼氏いることを知らないんだ。
こんなの、山崎さんが見たら嫌に決まってる。
てか見てるし。
そう思っていたらバッ、と手を離してしまっていた。
やば…。これ完全に切腹なんじゃ…。
「す、すまない、驚かせるつもりはなかったんだ。」
「こちらこそすみませんでした!!」
どうしよう。隠せてないくらい耳赤い。
どうしたんだ、私。
こんなの、山崎さん以外にやられてもあんまり動じなかったのに。
いつの間に私はこうなってしまったんだ?
『きっと、似たんだろうなぁって』
いつしか私が放った言葉。
私が山崎さんのウブに似てしまったってこと?
そう思うと、余計に顔が熱くなり、ゆげが出そうなくらいだった。
「…上様。」
後ろから聞こえる、少し低い声の山崎さん。
「…これ俺のなんで。」
満面の笑みでそう言う。
そして…、こんなに積極的になったのは私の影響かもしれない。
山崎さん…、好き。
将軍様は「フッ」と笑った。
何を言われるのかと少しドキドキしていたが、予想していた答えとは全く違った。
「ならそれを、早く言えばよい。
そしてすまなかった。次めぐり逢った時は、赤の他人として見てくれても構わぬ」
「しょ、将軍様。私の首が本当に飛んじゃいます…」
みんな一斉に笑った。
いやいや、笑うところじゃないんですけど。
「上様。ではこちらに。
山崎ィ。A。お前らも早く乗れ」
「え、…名前呼び…?」
「Aちゃん!放っていかれるよ!!」
「え…!ま、待ってください〜!」
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作者名:サラダ | 作成日時:2024年1月15日 13時