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夜8時。
私は道場に行っていない。
だって意味の分からない勝負を急に持ち出されたから、
少々戸惑っているし、これは多分山崎さんに対しての怒りも入ってる。
篠原さんにされるがまま…。離れようともしないでちゃんと篠原さんの話を聞いてあげようとする。
気に入らない。
誰にでも優しいのが気に入らない。
私にだけ優しくすればいいのに…。
「はぁ…、」
私のため息を察知したかのように、
トントン、と扉を叩く音が聞こえた。
「…Aちゃん?」
「や、山崎さん!?」
「入っていい?」
「い、いいですけど……」
ガタン、という音と共に開く。
…私を呼びにきたのだろうか。
それとも…、もう私が必要ない…とか?
あるわけないことがどんどんと溢れ出てくる。
少し間をおいて山崎さんは「行きたくなかったら行かなくていいんだよ」と言った。
「なんでですか、…てか、なんで止めてくれなかったんですか」と思わず不機嫌に聞いてしまう。
すると山崎さんは、申し訳なさそうに、
「俺…Aちゃんに嫌なことばっかしてるよね…。
ちゃんと彼氏務まってる?」
「…少なくとも、今は務まってないです。」
「あっはは〜……。言われちゃった…」
「…!ご、ごめんなさいっ、今のはそんなつもりじゃ.!」
「いいのいいの。多分Aちゃんに言われてなかったら一生直ってなかったかも」
思わず「え…?」と声を漏らしてしまった。
直ってなかったって?
山崎さんには悪い癖があるってこと?
別にそんな風には見えないけど。
「俺の悪い癖なんです。めんどくさいことはすぐに放り投げちゃう。」
「…山崎さん。私やっぱり行きます。」
「え!?!?なんで!?」
私だけの山崎さんなんだ、って心から伝えたい。
あんなぽっと出に奪われてたまるものか。
てか、篠原さんなんかより、私の方がよっぽど山崎さんのことを知ってる。
負けるはずがない。
「なんかムカついたんで!いつまでもやられっぱなしの私じゃないです!正々堂々山崎さんへの愛を伝えてきます!!」
「そ、それは恥ずかしいかな…。」
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作者名:サラダ | 作成日時:2024年1月15日 13時