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「あんた、新人?」
「は、はい、」
「私はのぞみ。あんたは?」
「A…です。」
怖そうなお姉さんだ。
だけど、土方さんは1番歳が近いということで、この、
のぞみさんに私の教育係を任せたそうだ。
スタイルがよく、料理も上手いとのことだ。
「まずは、基本的なことから教える。
しっかりメモしとけ」
「は、はい!!」
いつも朝、4時から起きて、真選組の方々のご飯を用意すること。
お風呂掃除は当番制なので、自分の当番がきたらしっかりと掃除をすること。
沖田さんを6時に起こすこと。
当番制で買い出しをしっかりこなすこと。
各自救急箱を常備すること。
…いや、3つ目どういうこと?
「…ここまでで何か質問は?」
「…多分、大丈夫です。」
「多分じゃこの仕事は務まらない。何人ものの命を背負ってるんだぞ。」
「…、…すいません。買い出しは何時くらいに行けば…」
「3時くらいに行ってくれると助かる。」
「……なぜ救急箱を常備するんですか?」
「どんな状況でみんなが傷を負うか分からない。
だから常備しておくんだ。」
ちゃんと丁寧に教えてくれる。
前の会社は質問をすると「自分で考えろ」の一点張りでちゃんとした理由を教えてくれなかった。
「ありがとうございます。」と告げるとのぞみさんは笑顔で「おう!!」と元気よく答えた。
…私、この人好きかもしれない。
「あんた…A。山崎さんの彼女なんだって?」
「へ、なんで知って…、」
「そりゃ、沖田さんが撒き散らしてるからね」
「また沖田さん……。」
「嫌い?」
「……べ、別に嫌いとかじゃないです。」
ここまで来てなんだが、本当になんで採用してくれたんだろう。
私の他がよっぽどひどかった?
でも、私よりいい人なんてたくさんいたはず。
「あ、その顔。なんで受かったのか分かってないんだろ?」
「え…、そうです…。私ってそんな顔に出てますか!?」
「あぁ、出まくってる。」
「は、恥ずかし……、」
「土方さんが言うには、山崎さんへの愛と真選組への思いが伝わったって」
「あっはは、マジでこれ、あっつ…。」
すると「山崎さんが惚れる理由が分かったわ。」と得意げに言った。
いや何が分かったんだろう。
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作者名:サラダ | 作成日時:2024年1月15日 13時