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少し呼吸を整えてから、
何やらポケットをゴソゴソし出す山崎さん。
私がなぜ遅れてきたのか、聞こうと思ったのと同時に
山崎さんは、「目を閉じて、指出して」と言ってきた。
少し警戒して恐る恐る指を出すと、
何かが通った感触が伝わった。
「………指輪っ！？」
「これでおそろいだね。……会うの久しぶりだから、
笑顔にしたくて。でも…、逆に遅れてきちゃって不安にさせちゃった。ごめんね…。」
「いや…なんかもう……。許すどころか惚れました…」
「えっへへ、ありがと。Aちゃん真っ赤だね」
「えっ…。」
山崎さんが私の頬を触ってきた。
え、いいんですか、こんなご褒美。
今年の運、使い切ったかも。
そしてその尊い行動に気づいていない
鈍感山崎さんもかわカッコいい。
なんか、山崎さんは、遅刻してまで私の指輪を買ってくれたのに。私は何も用意してなくて、一瞬でも来ないんじゃないか、って思った自分がみじめだ。
「山崎さん、私…何も用意してないですけど…」
山崎さんの腕を引っ張って、
軽いキスをした。
「…これが、お返しです」
「…………何それ、マジで可愛すぎるんだけど」
「…えっ」
「……俺も理性保つの楽じゃないんだけどな…。」
「へ、…ちょっ…、」
「今日…いい？」
山崎さんなのに、山崎さんじゃないみたい。
怖い。
山崎さんに対してこんなことを思うのは初めてだ。
私は今日ここで、男の人の扱いには気をつけないとダメだ、と認識した。
「山崎さん…っ、ごめんなさい！！！！」
私は、走って逃げた。
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作者名：サラダ | 作成日時：2024年1月15日 13時
