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「…愛が重すぎる女はみんな頭イカれてんのかィ」
「…ん?誰だって好きな人のことバカにされたら殺したくならない?」
「かえでちゃん、言葉遣い」
「で、本来の目的は?偶然通りかかったわけじゃないだろィ」
「…山崎さんに会いにきたんです。」
そう言うと、沖田さんの顔はすぐに歪んで、
「あいにく、ザキは風邪でさァ。看病していくかィ?」と言った。
うつされてほしいのか、または気遣いで言ってくれてるのか、私には分からない。
「…そういやお前、山崎のこと押し倒したんだって?」
「してませんけど!?」
「え、何、A!その話本当!?」
「なわけないでしょ!?てか、かえでちゃんには話したじゃん!!」
「あー、あの馬乗り…。」
急いでかえでちゃんの口を塞いだ。
何を喋る気なんだ、この女は。
「…少し様子見に行きますので、中に入らせてくれませんか。友達も一緒に」
「いいですぜ。じゃあ、お願いします沖田様って言え。
旦那の彼女もな。」
「「…お願いします、沖田様」」
「いってら〜」
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「…大丈夫ですか?山崎さん。」
「え!Aちゃん!?…と、木下(かえで)さん!?」
「体調…大丈夫ですか?寒かったですもんね、遊園地」
「私空気だから、ここで退散するねぇ」
「ちょ、かえでちゃん!?」
行ってしまった…。
山崎さんはというと、そのまま私の方を向いて座り込んだ。
ちょっと待って、寝ててください。
私好きな人が苦しむ姿とか見てられません。
と言おうとしても、山崎さんは汗をかいているせいか、着物から筋肉が少し見えていて、一言でいうとえ ろい。
「大丈夫ですか?」ともう一度言うと、「もう治りかけだから大丈夫だよ」と返ってきた。
「…何かできることありますか?」
「……Aちゃんと話ができてるだけでも嬉しいよ」
「…抱きしめていいですか。」
「えっ!?」
「ダメですか…?」
「…ほら、おいで?」
あぁ、無理。
好き好き好き好き。
自分でも怖いほど好き。
「おいで?」とか、もう私の寿命を縮ませるようなもんだろ。
「Aちゃんと話ができてるだけでも嬉しいよ」と言われた時点で私のライフはとっくにゼロなんですけどね。
「好きです、山崎さん。」
「急だなぁ。…俺も好きだよ」
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作者名:サラダ | 作成日時:2024年1月15日 13時