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摂津国で迷子になってから半年がたった。
私はというと、月に一回の頻度で青天目様の甘味処に行っていた。
今まで行ったどこの甘味処よりも美味しく、最初食べたときは感動した。
因みに行くときに道には迷っていない。これでも記憶力は良いほうなので。
「青天目様の甘味処は日本で一番美味しいですね。来る度に新しい甘味も追加されていて全く飽きる気がしないです。」
「倭子さんに言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます。」
青天目様は私の方を向いてくしゃりと笑った。
素敵な笑顔だと思った。
何回も甘味処へ来るうちに気づいたことがある。
彼はよく笑う。
笑うといっても声をあげるのではなく、静かで、でも全ての人を幸せに出来るような笑顔。
例えるなら青い空に在る太陽だろう。
そしてもうひとつ。彼は格好いい。美しいと言った方が正解かもしれないが、女性が欲しがるような綺麗な白い肌。
少し青っぽい黒髪。
そして笑顔。
女性に人気がないわけがないと思うのだ。まだ未婚ということに今も驚いている。
「美味しかったです。お金、ここに置いておきます。それではまた。」
「はい、また来てくださいね。ありがとうございました。」
私は今月も山城国へ戻る。
まだ、甘味処に居たかった、もう少し青天目様と話したかったと思いながら。
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作者名:山崎琴崋-kotoka- | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/2007yamazaki/
作成日時:2022年11月25日 21時