忍ぶ恋 (ページ2)

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どれ程走っただろうか。半刻か、一刻走ったかもしれない。
私は無事に森を抜けることができ、少し歩いたところで甘味処を見つけた。

もう、戌の刻だろうか。あたりは暗い。

もう閉まっていて誰もいないだろうと思いながらも声をかけてみる。森は抜けたが迷子なのにはかわりないのだから。

　「すみません。どなたかいませんか。」

　,,,返事はない。やはりいないと思い諦めて何処か別の場所を探そうとしたところで声が聞こえた。

　「こんばんは。どうされましたか。」

　出てきたのは簡単に表すと優しそうな年上の男性だった。私よりも3つ程上なのではないだろうか。

　「実は道に迷ってしまったのです。山城国までいきたいのですが此処からどういけば良いのか教えてもらえませんか。」

　山城国は私達が住んでいる国だ。戻るためには現在地も把握しておきたい。

　「山城国ですか。それでしたら良かったら今夜は此処に泊まっていきませんか。夜は寒くて冷えてしまいますからね。それに最近、付近の森では山賊が出ていて女性一人で歩くのは危ないので。」

　願ってもない誘いだった。