ありおか恋愛相談所３

二人の出会い やぶひか編 ページ27

薮side


まだ、俺が大学生だった時、光に出会った。


「平成大学の、薮宏太です。」

「同じく平成大学の、八乙女光です。」


俺達は大学が同じで、4年生の時にあった教育実習で同じ高校に行くことになった。


お互い、話したことも、こうやって一緒の活動に取り組んだりすることもなかったから緊張していた。

その教育実習には、光しか同じ大学の奴がいなかったのだ。



「これからよろしくな、八乙女くん」

「なんか、くん呼び嫌なんだけどっ」


教育実習一日目の帰り道。
二人っきりという何とも慣れない空間で、俺は極度に緊張していた。


「え、じゃあ…八乙女？」

「八乙女も嫌！」


光の呼び方について、結構話し込んでいた俺達。

なかなか光は俺の呼び方に対してOKを出してはくれなかった。


なんだよワガママだなぁ…とただ率直に心の中で思っていた。



「じゃあ、なんて呼ばれたいの？」

半分ヤケになりながら聞いてみたら、分かりやすく耳を赤くした光。

今思い返してみると、相当あの瞬間の光は可愛かったと思う。今の俺なら速攻で光を食べたくなってると思う。



「別に、光でいいしっ！」


目は合わさずに、言い切った光。


「おっけ、光」


さっそく光、と呼んでみたら、さらに赤くなる耳が面白かった。



「俺のことは、薮でいいからな」


「わかった、薮」



この頃は、何故だかよく分からなかったけど、光に呼ばれる自分の名前は、特別に聞こえてきた。


でも俺はまだ自分の気持ちなんか知らないし、ましてやこの人生で絶対男を好きになることなんか無いと確信してたから、気付くも何も無い。



すっかり暮れてしまった日。
もう真っ暗だから危ないと、光を家まで送った。

一人で帰れるとは言われたけど、何となくコイツは危なっかしいから、送った。



別に疚しい気持ちなんか無いし！
もっと光と話してたかったとか、そんなの無いし！！



俺達はまだ、あくまでもただの友達だった。



＿＿＿＿この頃から特別だった、

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