(74)仲が良ろしい ページ35
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身支度を終えてもう1度拠点へ戻り、中也の執務室へ入った。
何時も私が寛いでいたソファには1人の女性が座って鉛筆を手にしていた。
「おはようございます」
『おはよう…ございます…』
「嗚呼、紹介が未だだったか」
中也がそう云うと、目の前の彼女は私よりも高く綺麗な声で自己紹介をした。
「羽須美陽和と云います。昨日から此処でお世話になる事になりました。若輩者ですが、どうぞよろしくお願い致します」
『AA。よろしく』
「手前、陽和が歳下って判った途端に其れかよ」
『良くお聞きよ陽和ちゃん、此のチビに何かされたら私に云うンだよ?永眠させたるから』
「変な事吹き込むなクソA!」
『レディに向かってクソとは何さ!』
「其の侭の意味だし手前の何処がレディか云ってみろ!!」
突如として始まった小競り合いに陽和は只呆然とするのみだった。
其れに気付いた中也が「あ…悪りぃ…」と気を利かせて軽く謝ると、彼女はクスクスと笑った。
不思議そうに眉を上げる中也。
何を笑ってるんだと云いた気に眉を顰めるA。
「嗚呼、ごめんなさい。2人は本当に仲が良ろしいのだと思ってつい」
『は…?』
"仲が良い"という響きが癪に触った。
先程まで回復しつつあった頭痛が再び牙を向き、Aは頭を抑える。
『今の何を見たらそう受け取れるのか知らんけど…用件だけ聞いて帰る。何』
「取り敢えず
「ええ。ごゆっくり」
結局私の部屋で話すのかよ、と溜息を吐きながら自分の執務室への道を歩いた。
何故か、今2人きりになれたことを嬉しく思う自分が居て気持ち悪い。
2人の執務室は然程離れておらず、少しの内に着いた。扉を開けて中に入るよう促す。
『適当に座って』
「おう。結構片付いてんだな」
『樋口ちゃん達も手伝ってくれたからね。で、今度の任務って?』
「只の偵察任務だ」
其れくらいで何だ、と思いながらアイスコーヒーを差し出す。
「だが、1つ厄介な事がある。女子禁制の会合なんだ」
『ふーん。だから?』
「手前は男装しろって事だよ」
へー男装ね…
…ん?男装!!?
『男装…って…』
「男の格好」
『んなこたぁ判ってンの!!!』
何時だかの衣装攻防戦線が再び引かれようとしていた。
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ヤマダノオロチ(プロフ) - Yuukiさん» ありがとうございます!やっと構想がまとまってきました。これからもよろしくお願い致します! (2017年2月18日 23時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
Yuuki(プロフ) - とても面白かったです!スランプで大変だと思いますが、これからも頑張ってください!応援してます!! (2017年2月18日 23時) (レス) id: 3720d37733 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 天さんさん» コメントありがとうございます!上から目線だなんてそんな事無いですよ!?お褒めに預かり光栄です(>_<)最近はラブソングばっか聴いてて、主と中也くっつけたい〜とか考えてます(笑)これからも頑張ります! (2017年2月14日 20時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
天さん - う、上から目線で失礼しましたぁああッ!! (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - スランプ大変ですよね…文章とか読みやすくて好きです!頑張ってください(*´ω`*)ちなみに、私はスランプの時は曲を聞いてます。曲聞いてるとネタがポンポン出てきますので…!これからも応援してます(´˘`*) (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年9月4日 20時