(46)拝啓 ページ4
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拝啓
元気にして
「………」
ちゃんと幹部代理は務まってるのか。
手前の事だから書類の多さにベソかいてる顔が浮かぶぜ。ざまあみやがれ。
3ヶ月後に執務室が散らかってたら圧死させるからな。
「…はぁ……」
ペンを置き、たった今書き上げた文面を読み返した。
手紙らしく"拝啓"などと綴ってみたものの、彼奴に対して敬意を払った文を書くのも癪に障るので、その紙をクシャっと丸めてゴミ箱へ捨てた。
新しい便箋に短く文を連ねて2つに折り畳み、封筒へ入れる。
「あと3ヶ月も…いや…3ヶ月しか、か?」
約半年という長いように思えた出張も、あと少しで終わろうとしている。
海を撮ったものなど数枚の写真を入れて封をした。
明日、仕事がてら投函しよう。
「怪我とかしてねェだろうな…彼の莫迦…」
不意に出た言葉にハッとして目頭に手を当てた。
…疲れてるんだな、俺。
じゃなきゃあんな奴の心配なんてしねェ。
絶対にしねェ…!!!
「…んあ?」
こんな夜遅くに誰が電話してきやがるンだと思ったが、時差のことを思い出して日本に居る人からかと予想を立てた。
案の定、画面に映ったのは首領の名前だ。
「中原です。お疲れ様です、首領」
<夜遅くにすまないね。時差のことを思い出した時には発信していたもので>
「いえ、お気になさらないで下さい」
<それで、どうかね、其方の様子は>
首領の声色が変わったのがわかった。
「今の所大きな動きはありません」
<そうか。此方も大した事は起こっていない。A君も上手くやってくれているよ>
「そうですか。なら良かったです」
<怪我でもしていないかと心配だったかい?>
「ッ、げほっ?!!」
今さっき思った事をピタリと当てられて思わず噎せる。
<図星かな?君も「そんなことないです!!!」
俺の必死な否定に首領は「そうか」とフッと笑った。
その後、簡単に今後の動きを話して電話は切られた。
「首領まで何て事言うンだよ…くっそ…」
何故か熱くなった頬を隠すようにソファーに寝そべって帽子を顔の上へ乗せた。
怪我以上の事がAに起こることなんて、この時俺は全く予想していなかった。
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ヤマダノオロチ(プロフ) - Yuukiさん» ありがとうございます!やっと構想がまとまってきました。これからもよろしくお願い致します! (2017年2月18日 23時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
Yuuki(プロフ) - とても面白かったです!スランプで大変だと思いますが、これからも頑張ってください!応援してます!! (2017年2月18日 23時) (レス) id: 3720d37733 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 天さんさん» コメントありがとうございます!上から目線だなんてそんな事無いですよ!?お褒めに預かり光栄です(>_<)最近はラブソングばっか聴いてて、主と中也くっつけたい〜とか考えてます(笑)これからも頑張ります! (2017年2月14日 20時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
天さん - う、上から目線で失礼しましたぁああッ!! (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - スランプ大変ですよね…文章とか読みやすくて好きです!頑張ってください(*´ω`*)ちなみに、私はスランプの時は曲を聞いてます。曲聞いてるとネタがポンポン出てきますので…!これからも応援してます(´˘`*) (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年9月4日 20時