きっと其の六十 ページ10
.
気が付くと、中原は冷たいタイルの上に居た。
垂直に交差する直線がどこまでも広がっているのを見て、此処が話に聞いたチェス盤の上だと理解する。
カチャンと乾いた金属音が聞こえた方へ目を向ければ16体の駒。
それぞれ、
その中には勿論、黒の
黒の女王が片手を上げると、それぞれの駒が前進を始める。それと同時に彼女もまた、Aの座る玉座へと上昇を始めた。
「待ちやがれ!」
升などお構い無しに全力で盤上を駆ける中原だが、予想以上に巨大なチェス盤は敵陣へ辿り着くことを簡単には許してくれない。更に、目の前には15の駒たちも迫ってきていた。
チッ、と壮大に舌打ちをして中原はボードを蹴った。そして跳躍。
それを避けるついでに触れて持ち上げ、反対側に叩きつける。すると半壊の
「
玉座の下で構える
「動こうが動かなかろうが確実にとるけどな」
もうすぐ其処まで追いついた玉座では、黒の女王がAを抱きしめていた。
黒の女王はそのまま膨張を開始。みるみるうちにAが呑み込まれていく。
「中原…幹部……」
「A!!」
遂にはトレードマークの帽子を脱ぎ捨て足場にし、中原は空中を加速した。
最期に藻掻くが如く伸びたAの華奢な腕を何とか掴んで引き寄せようとするが、
「……クソッ!」
反対側からかけられる引力に勝てず、彼も黒の女王の闇の中へ飛び込んでいってしまった。
それでもAの腕を離すまいと力を込めるが、視界はどんどん黒に覆われていく。
やがて、ボードの反対側に辿り着いた
.
204人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヤマダノオロチ(プロフ) - カンナさん» ちょっと……涙が出そうです……ありがとうございます。お待たせしました(> <) (2020年6月16日 19時) (レス) id: 20ed7c05bd (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - 初コメ失礼します。更新楽しみにしていました。おかえりなさい(*´ω`*) (2020年6月16日 18時) (レス) id: 5ade983ea5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆのみ | 作成日時:2019年5月11日 13時