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きっと其の五十七 ページ7

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「そういえば、あれ以来異能の調子はどうなんだ?」

話題を変えるように立原が云った。あれ、とはきっと先日のことを指しているのだろう。

「遣ってない。未だに黒の女王が何者かも判らないし……」
「その、黒の女王なんだけどよ。俺、考えてたんだ。そしたらこの前少し関連するような話を耳にして……」

立原が云うには、世の中には自立動作型の異能も存在するらしい。
かの異能特務課にその類の異能力者が居るらしいが、自分自身での制御は不能であり、その実は彼女の母親の異能が『娘を護る』ことを目的とした命令を守っているからだった。

つまり、自分が持っていると思い込んでいる異能が、実は自分のものではないとしたら。黒の女王が私の制御を受けないのにも頷ける。

「でも、そんなの一体誰が何の為に……」
「女王だからって、その主が女とも限らないだろ?」
「じゃあ……」
「港でお前に本を授けた男がその主じゃねえかって俺は思ってる」

ネイビーブルーの瞳が揺れた。

「其処に、解決の(いとぐち)があるんじゃねえか?」
「なるほど……そんなこと考えつきもしなかった……」
「偶々小耳に挟んだ話が関連してたってだけだ」
「ありがとう、立原」
「……おう」

食事も済んだし、そろそろいい時間かと店を出た。

最早慣れたように彼の後ろに跨ると、「ほれ」とヘルメットを被される。
昨日家まで送ってもらったとき新品の匂いがしたそれは私の為に買ってくれたものなのか。

「よし、ちゃんと捕まれよ」
「……毎回云うよね、それ」

さらに立原が何か云っていたけどエンジンの音でよく聞こえなかった。

「何か云った?」
「別に。ほら早くしろ」

細く見える割にがっちりとした腰に手を回した。
いつの間にかもうこれがお約束になっている。



____怪我して寝てるお前見るのは、もう懲り懲りなんだ。




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ヤマダノオロチ(プロフ) - カンナさん» ちょっと……涙が出そうです……ありがとうございます。お待たせしました(> <) (2020年6月16日 19時) (レス) id: 20ed7c05bd (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - 初コメ失礼します。更新楽しみにしていました。おかえりなさい(*´ω`*) (2020年6月16日 18時) (レス) id: 5ade983ea5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆのみ | 作成日時:2019年5月11日 13時

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