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きっと其の十七 ページ17

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24時30分。

予定された計画は下記の通りだ。

まずはAが独り会社内に留まり、犯人の合否を確認する。それが犯人なら、中原とAで確保、若しくは始末。
最終的に梶井が死体の回収__本人たっての希望である__と証拠の隠滅、という名の爆破。

因みに偽取引の場所は会社の地下である為、マフィア管轄であるこの証券会社に直接被害が及ぶ事は無い。
まあ、梶井が爆弾の加減を間違えなければの話だが。

そういうわけで、Aは独り闇の中に居た。1本の蝋燭だけが申し訳程度に周囲を暖めている。

『様子はどうだ?』

無線越しに聴こえたのは中原の声。Aは「まだ何もないです」と応える。
応えた矢先、Aのものではない足音が響いた。続いて低い男声も。

「其処に居るのは誰だ!」

Aは答えない。ただ口を閉じた侭、その場に立ち尽くして相手の顔を見た。

背の高い、眼鏡の男だ。その後ろにはなよなよしい少年の姿も見えた。
Aは小声でマイクへ話しかける。


「幹部、武装探偵社です」
『はあ?武装探偵社だァ?』
「ええ。人虎と国木田かと」
『チッ…面倒だな…』
「探偵社とは停戦中ですが…状況が状況ですね」
『嗚呼。恐らく俺らと同じ件で動いてるンだろ』
「同意見です」

中原幹部と通話している間にも、2人の人影は近付いて来ていた。
この2人の事は参考書類で見た程度で、実際の面識は無いに等しい。いつかの探偵社襲撃の際も、私は外を固めていたので窓から投げられた同胞しか知らない。

「こんな所で何をしている」
「貴方方こそ」
「俺達は武装探偵社だ。とある連続襲撃事件を追っている」
「へえ、それはお疲れ様です」

向こうも私がポートマフィアの人間だと知らないらしい。それにしても、停戦中の探偵社がどうしてこの襲撃事件を追う必要がある?今回の件で一般人に死傷者は出ていない筈だ。

「犯人である男は、かつて無差別殺人を起こしている。被害者はまだ殆どが見つかっていない」
「なるほど。それで最近また尻尾を出したから追っていると」
「そういうことだ。此方の事は話した、ソッチの話も教えろ」
「はあ…」

停戦中の今なら、本当のことを云っても平気だろうか。どうするべきか悩むな。
探偵社と争う事は無いとしても、此方の目的は"抹殺"、あちらの目的は恐らく"確保"。それに、幹部も梶井さんも探偵社に多少顔が知れてる為、あまり出したくない。


「……私は____」



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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2018年2月5日 0時

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