【文スト】きっと純愛 (ページ7)

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きっと其の七ページ7

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「A～、これからどうだ？」

立原がお馴染みのクイッと指を動かすジェスチャーで誘ってきた。今日はこの書類が終われば業務終了だが、どうしようか。

「んー…今日は遠慮しとく」
「そうか？じゃあまた明日な」
「お疲れ」
「おー、お疲れさん」

昨日も呑みに出たし、今日は朝から実地任務があったせいで割と疲れていた。さっさと帰宅してさっさと寝よう。そう思った時、部屋のドアが開いた。

「……中原幹部…？」
「お、まだ居た」
「私に何か御用でも？」
「急に悪りィ、一寸時間あるか？」
「はい」

二度あることは三度ある。とはよく云ったものだ。1日に2度会うだけでも吃驚な人に3回会った。

しかも3回目は相手自ら私を探しての来訪だ。
そのうち郵便受けに果たし状が入っているかもしれない。

「ところで幹部、これから何処へ？」

昼時の様に幹部と並んで歩きながら、私は先ず目的地を訊いた。
彼はこの前も何の為に何処へ行くのか教えてくれなかった。それは当事者からすればかなり不安である。相手が中原中也であるが故に、その不安は4割増しだ。

「射撃場だ」
「と、云いますと？」
「あ？手前、射撃場が判ンねえのか？」
「なっ、それは判ります！」

驚いたように片眉を上げた幹部にムキになって返すと、彼はプッと吹き出し、笑った。即座に揶揄(からか)われたのを悟った私の口は半開きになった。

「手前もムキになったりすンのな」
「いや今のは…すみません」
「何で謝ンだよ、悪いなんて云ってねえだろ」

何だか大幅に話題が逸れた気がする。
とりあえず、中原幹部の笑顔が可愛い事は判った。
…何か、私って実は面食いだったのかもしれないと思う事が最近増えた。原因は完全に目の前の男だ。

「何時も澄ました顔してっから、根っからの真面目人間なのかと思ったぜ」
「流石にそれはしんどいです」
「ハハッ、だよなァ」

結局目的は聞き出せない侭、射撃場へ到着する。中へ入ると数人の構成員がおり、皆黒服にサングラスだった。私もサングラスを除けば殆ど同じような恰好である。
その人たちの目線が集まる中、幹部は奥にある的を見ながら云った。

「A、撃ってみろ」
「……えっ？」
「ほら」
「わっ、あ、えっ、はい」

拒否権は無く、私は投げ渡された拳銃を構え、引き金を引いた。

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